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会議室の前まで来ると、梅ちゃんが待ってくれていた

「梅ちゃん、巻き込んでごめん」

「…俺、勇人さんのこと信じてます
 Aちゃんのことも」

梅ちゃんは神妙な面持ちで
でも俺の方は一切見ようとしなかった

それもそうか

自分が大切にしたいと思ってた人が
俺なんかと一緒に写真に撮られて
しかも国際大会直前のこの時期や
そりゃ顔も見たくないわな

梅ちゃんが扉をノックする

「梅野と坂本です、失礼します」

会議室には
稲葉監督始め、各コーチ陣が揃っていた

「どうぞ、座ってください」

稲葉監督に促され、俺と梅ちゃんは並んで座る
金子ヘッドコーチがまず口を開いた

「もう知ってると思うけど…週刊誌の件だ
 回りくどいのはここの全員が苦手だからな
 勇人、説明してもらえるか」

回りくどい…正直に話せってことね
そう解釈した俺は、ことの顛末を話した

梅ちゃんと仲違いしていた事
Aに間に入ってもらい梅ちゃんと和解した事
梅ちゃんが先に帰った後、スマホの充電を
させてもらうため、彼女の部屋に行った事
もちろん充電後すぐタクシー呼んでホテルに帰った事

嘘偽りなく全てを話したが
信じてもらえたかどうか定かじゃない…

「自分が先にタクシーに乗ってしまったんで
 彼女を先に帰せば良かったと…」

梅ちゃんが後悔している様子で肩を落としていると
清水外野守備コーチがフォローする

「梅、済んだ事だけぇ言うてもしゃーない」

すると、金子ヘッドが口を開いた

「相手の女が週刊誌に情報を売ったとは考えられんか?
 遊ぶ金欲しさに…」

金欲しさに情報を売った?
まさかAがそんな事するわけが…

瞬間、梅ちゃんが怒りをあらわにした

「いくら金子ヘッドでもその発言は聞くに堪えません
 撤回していただけますか」

普段から冷静で物静かな梅ちゃんが
わりと本気で怒っていて、金子ヘッドも驚く

「す、すまん、悪かった…撤回しよう」

一言、謝罪した

会議室に沈黙が流れる
それを破ったのは、稲葉監督だった

「勇人、相手の子に連絡つくか?」

「え?今ですか?」

「稲葉さん?!」

その場にいる全員がザワついた
もちろん俺も梅ちゃんも、開いた口が塞がらない

「いや、回りくどい事は苦手だから。
 直接本人に聞けば早いでしょう」

「そ、そうは言いましたけど…」

監督の突飛な発想に、金子ヘッドが思わず口籠る

「勇人、電話できるか?」

「あ、はい…」


俺はスマホを取り出してAの連絡先をタップした

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作者名:おか(´・ω・`) | 作成日時:2021年7月4日 19時

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