続：獪岳と同期の子の話

19.実感 ページ14

鎹鴉から炎柱の訃報を受けてから二日後。
獪岳は村田を料亭に誘い、個室で食事をしていた


｢すみません、大変な時期に｣

｢気にしなくていいよ。こういうのも大切だからな｣


村田は申し訳なさそうにしている獪岳に優しい言葉をかける...獪岳は内心、申し訳ないなんぞ思っていなかったが。


｢A、随分気が滅入ってただろ？手紙が来たんだが字が酷くてな｣

｢...確かに少し様子がおかしかった気がしますね｣


この二人の共通する話題といえばA。例の如くこの日も彼女についての話をしたのだった

話の途中、村田はポロリとこんなことを口にした。


｢こんな事言うのは不謹慎だってわかってるけどさ...炎柱様も人だったんだって、やっと思えた気がするよ｣


獪岳は村田の言葉に、自分のかつての先輩は酒を飲む度に炎柱について話していたなと思い出していた。


『俺らの一個下の代の奴でな、あっという間に柱になっちまった奴がいてさ。ったく一人で勝手に強くなりやがってよぉ......頼ろうとしてくれねぇの』

『代は一つしか変わんないけどさ、俺達の方が歳も上なんだよ。数年しか違わないけどアイツよりも長い人生送ってんの！わかるか獪岳、この俺達の気持ちが...』


あの人達のせいで自分は炎柱に詳しくなったんだったなと思っていると、村田がまた口を開いた。


｢俺の勝手な見解だけど、今年はいつもより一層忙しい年になると思う。事実この数ヶ月で色んなことが起きてる。気は抜けないな｣

｢...そうですね｣

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