微かな記憶【レオナ・キングスカラー】 (ページ8)

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らしくない程に焦る。

Aが死ぬ。

知らない名前の筈なのに、何故か泣きたくなる。

「…！？ちょ、レオナさん！？なにやってんスか！」

『うっせぇ！今それどころじゃねぇんだよ！！』

不思議な気配を辿る。

もう喋ってはくれない。

………止まれはしない。

『…っけ…ほっ………』

魔力の使い過ぎだ。

このままじゃあ保たない。

『しょうがねぇ…こっからは走るか』

第二王子といえども、王族が変装もせずに何かを追いかけているのはきっと異常に見えているんだろう。

…そんなこと、考えたってわかりゃしないが。

『頼む、間に合ってくれ…ッ』

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冷たい風が突きつける。

もうすっかり夜も更け、空に星が瞬いている。

「…誰？誰か居るの？」

『…A、だな』

何となく、そんな気がして。

「なんで私の名前を知ってるの？聞いたことが無い声。あなた、名前は何て言うの？」

『…俺は、レオナ・キングスカラー』

憎んで憎んで憎んで憎んだ俺の名前。

『この国の第二王子だ』

「…？ごめんなさい、よく分からない…あなた、声からして男だよね？
第二王子…？」

『………ははっ。俺だって意味わかんねぇよ』

懐かしい。

愛おしくて堪らない。

何も、変わってないじゃないか。

どうして、忘れて居たのだろう。

『俺はまだ、誕生日プレゼントを貰ってないぜ？まさか、用意してないなんてことはねぇよなあ？』