微かな記憶【レオナ・キングスカラー】 (ページ4)

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『お前は、婚約者の元恋人の話を聞いても大丈夫なんだな』

まあ、最初から居ないが。

「ええ。だって、レオナが幸せそうだもの。私はそれで十分」

…ああ、嫌気がする。

こいつは心が綺麗なんだ。反りが合わない。

「…まあ、ちょっと複雑だけど」

『………そういえば、何しに来たんだ？』

「暇だから話に。というか義兄さんに言われて…」

『兄貴か』

「ねぇ、学生の頃の話を聞かせて」

それから、色々なたわいのない話をした。

学校ではラギー・ブッチ、今の召使いに昼飯を買ってきてもらっていたこと、

少し手伝っただけでとても感謝されたこと。

部活で一番優秀だったこと。

……あと………………

「やっぱり、綺麗」

『あ？』

「好きな人の話をする時、瞳が輝いてる」

『…そうか』

好きな人なんて居ない。

居ない筈なのに…

愛おしく思う気持ちが湧いてくるのは、何でだ？