【D.gray-man】 Sorry but Goodbye -Secondo-

「むしろ可愛いです。」 ページ12

(地獄の)処置を終えて、私は一室の部屋へ放り投げられた。
ふらふらと、私は空いたベッドに向かった。

「…？誰であるか…？」

ふと、自分のベッドの隣にもう一つのベッドが置かれているのが気づいた。
というか、この部屋には計六つのベッドが置かれていたらしい。
処置が刺激的すぎて、他の物を見ている余裕がなかった。

そして唯一埋まっているベッドは、私のを除いて、私の右隣のベッドだった。
そこには、初めて見る男の人が寝ていた。
全体的にやせ細っていて、面白い髪型。妙に歯が長いのが気になる。

…っていうか男女一緒の部屋って、少し考慮とかないんだろうか。

「えっと…すみません、起こしてしまいましたか？」
「いや…大丈夫である。もともと眠れなかった。」

むく、とその人は起き上がってベッドに座り直した。
傍から見てもわかるほどすごい長身だ。
大体2ｍはあるんじゃないだろうか…く、ムカつくな。

「私の名前はアレイスター。アレイスター・クロウリーである。クロウリーとみんなが呼んでいるので、君もそう呼んでくれると嬉しい。」
「あ、はい…えっと、クロウリー、さん。私はAです。新しくエクソシストに…」

あぁ、でも今イノセンス持ってないし、自分をエクソシストだと名乗っていいのだろうか…
私の思考を完全無視して、クロウリーさんは嬉しそうに笑った。

「あぁ！聞いたである！新しいエクソシストが来ると！Aのことだってであるな！」

いきなり親しげに話しかけてきたクロウリーさんに少しだけびっくりした。
なんか大人しげな人だと思ったけど、思ったより明るい人なんだなぁ。
喜怒哀楽がはっきりしていて、なんだかちょっと可愛いかも。

思わずくす、と笑みを浮かべたら、クロウリーさんは慌てだした。

「ど、どうした？私が何か変なことを言ったか？」

いきなり慌てるクロウリーさんに、また笑いがこみあげてくる。
どうしようもない彼の可愛さに、私は素直に笑いに従った。

「ッ…ははは！クロウリーさんって、面白い人なんですね！」

ついさっきまでの憂鬱が吹っ飛んだみたいに、馬鹿みたいに笑いだす。
心の中のもやもやや霧が晴れて、幾分すっきりした。

あぁ、クロウリーさんに感謝だ。

「わ、私が怖くないであるか？」

今度は心配を恐怖でわたわたし始めたクロウリーさんに、私はくす、と笑う。
そして全然、とつぶやきながら首を振った。

「むしろ可愛いです。」
「か、可愛い？私が？」

「憧れちゃうなぁ…」→←怖さで死ねる。

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