第十七話 ページ17
『いやぁごめんね、ありがとう。助かった』
「つっっっかれた…」
『お疲れ簓』
「無理して仕事してぶっ倒れたんやなくてゴキブリと戦って力尽きただけとか俺のあの時の心配返して…」
『別にやばかったら寝てたし。というかそんなやばい時にネタなんて思い浮かばないよ』
「なぁ、A」
『ん?盧笙仕事終わったの?』
「いや、まだあと少し。…一つ聞きたいんやけど、なんで芸人目指したん?」
『あれ、話してない?』
「あーそういや知らんな。そこに飾っとる写真のことも聞いたことないし」
『そういや皆に話してないね』
「あんまり言いたくないなら無理して言うことはないからな」
『別に大丈夫だよ。…まずそこの写真、私が学生時代のたった1人の友人。私人と話すの苦手でさ、だからずーっとその子といたの。その子のおかげで私お笑い好きになったんだよ』
「ちっちゃい頃からお笑い好きでそれで目指したんか?」
『そう。…そうやって人を笑顔にしたいなって思ってね。でも昔から私はネタは思いついても演技がてんでダメ。…何度も何度もやっても上手くできなかった』
「そんな前から……ほんとに…前、ごめんな…A」
『はははっいいよそんな。あの時は私も悪かったし。…あーそれでね、私その子と約束したんだよ。…その子はAなら絶対おもろい芸人になれる!!って言ってくれててさ。だから2人で漫才やろって』
「そうか…今やってないってことはその女の子に何かあったんだな」
『うん。…その子さ家庭環境がすごく酷かったの。仮面夫婦ってやつなのかな。喧嘩なんて毎日だしそれに巻き込まれてよく怪我してたんだ。…でもずっと笑顔で大丈夫大丈夫…って……私、馬鹿みたいにその言葉信じ込んで…』
「…そうか、何となくわかったわ。…な、2人もわかったよな」
「あぁ…そりゃ辛かったな」
「そんなことあったんか…」
『約束したからさ…1人でも芸人になるって思ったけど…やっぱり私にはダメでさ。…だからこんなことしてるの。知ったら多分怒るんだろうなぁ…でもこうでもしないと私は人を笑わせることは出来ないし…』
「Aが選んだ道や、その子も怒らんと思う。…夢を諦めるっちゅーのは痛いほどわかる、話いくらでも聞くからな」
『盧笙…ほんとイケメン…』
「俺も聞くからな、いつでも呼んでや」
『呼ぶって言うか呼ぶ前にいつも家にいるだろ、合鍵前奪ったのにもう1つ持ってやがったか』
「…バレたか」
___
123人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
くら(プロフ) - 雲隠さん» ありがとうございます!どついたれは最高ですよねっっ (2019年11月21日 21時) (レス) id: 59ac186e9d (このIDを非表示/違反報告)
雲隠 - とりあえず好き。どついたれ本舗好きにはたまらん!!更新頑張って下さい! (2019年11月20日 23時) (レス) id: fa6b997845 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:しゃか | 作成日時:2019年11月5日 8時