検索窓
今日:7 hit、昨日:0 hit、合計:18,212 hit

第3話 ページ3

『ありがとうございます、助かりました』


「いえいえ。…あ、ベッドはここですよ」



Aの手を優しく握りベッドまで連れていく




『夢野さんは優しいですね』


「そんなことありませんよ。…では失礼します」


『あっ!!あの!!』


「はい?」


『あ…えと、ん…』


「…ははっ…またここに来てもいいですか。Aさん」


『っ…はっはい!ぜひ!!』


「ありがとうございます。では、また明日」


『はい、またあし…明日?』


「おや、ダメでしたか?」


『そっそんな!!ぜひ!!』


「それでは、失礼しますね」


『はい、夢野さん』





…Aさん…か


目が見えず階段から落ちて足を骨折




病室を出ようとした時のあの寂しそうな表情
きっと今まで話す相手はいなかったのか…





「…あ…飲み物」








_______________








_______





「Aさん」


『っ夢野さん!』


「お邪魔しますね」


『どうぞどうぞ』


「足は大丈夫ですか」


『大丈夫ですよ。夢野さんも大丈夫ですか?』


「ええ、平気です」


『夢野さんって何してる人なんですか』


「小説を書いてますよ」


『えっ小説?すごい…私昔よく読んでたんですよ』


「…昔?」


『この目はいつかな…16とかに目が見えなくなってしまって』


「そうですか…」


『小説読むのが好きだったんですよ。…でももう読めなくて。点字で作られた本あるらしいんですけど。…でも私は目で字を読んで楽しみたい…』


「…Aさん」


『っあ…すいません』


「いいえ、大丈夫ですよ」


『小説を書いてるんですよね…腕怪我してたら』


「ええ、書けません。でもすぐ退院できるくらいの軽い骨折ですから」


『…そう…ですか』


「ははっ…大丈夫ですよ。すぐって言っても2週間くらいはここにいますから。…それまで毎日ここに来てもいいですか?」


『いっ…いいんですか?』


「えぇ。…Aさん、話す相手がいなくて寂しいんですよね」


『まぁ…はい。私こんなだから話し相手がいなくて。といっても相手の顔が見れないから話すのは怖いんですけど…でも…誰とも話さないと怖くて』


「私はAさんと話すの好きですよ」


『そ…そうですか…?』


「ええ。…Aさん小説が読むのが好きとおっしゃっていましたよね」


『はい…それがなにか…?』


「面白い話があるんですが…聞きますか?」


『…ふふ…はい。お願いします』







___

第4話→←第2話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (59 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
86人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ゆる - 面白かったです!! (2020年8月19日 9時) (レス) id: 647e80459a (このIDを非表示/違反報告)
しゃか(プロフ) - ニケさん» こちらこそ最後まで読んでいただきありがとうございます…!! (2020年5月7日 8時) (レス) id: 69f25d052a (このIDを非表示/違反報告)
ニケ(プロフ) - 素敵なお話ありがとうございます (2020年5月3日 9時) (レス) id: e4acd479d7 (このIDを非表示/違反報告)
しゃか(プロフ) - イカ娘さん» 読んでくださりありがとうございます!! (2020年3月16日 7時) (レス) id: 69f25d052a (このIDを非表示/違反報告)
イカ娘(プロフ) - とても素敵なお話で勇気づけられました。ありがとうございました! (2020年3月15日 11時) (レス) id: 9b4f71d253 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:しゃか | 作成日時:2019年3月2日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。