ぶつかった相手は893(碧棺左馬刻)

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帰り送ってく?

絶対嫌だね､家もバレたくないのに


まぁ急いで帰ればいいか




…あの人めっちゃ飲んでるはずなのに全然酔ってない｡強いのか




『…はぁ』



なんであの人にめっちゃ会うんだろうな

…でも暴力されそうになったことは一度もないんだよな




『今…20時か｡…そろそろ帰ろうかな｡…あの､すいません』



先輩に言おうとしたけど今めちゃくちゃ女の子と盛り上がってるから端っこで飲んでいた男性に話しかけ私が頼んだ分のお金を渡して帰りますと伝える

その人はまだ帰らなくてもと言いそうだったので何も聞かずに帰る


…別に付き合い悪いと思われてもいい



早く帰ろ




『はぁ…寒』




ポケットに手を突っ込んで下を向いて歩いているとトン､と誰かと肩がぶつかった

もう私前見ろって…


『すいません』

「くっ…はははっ､またお前か」


『っ!?!…あ､の…すっすいません!!』



まさかのまたあの人
やばいと思い走る｡いつもならこのまま逃げられるのだが今日は腕を掴まれた



「待てって､んでいつも逃げんだよ」


『いや…あの､ほんとぶつかってしまったことは謝るんで…すいません…お金とか今さっき飲み会でないので…お願いします…』


「だから金はとらねぇつってんだろうが」


『…なんで､声掛けたんですか』


「あー…別に理由はねぇけど」




……は?え?んん???


理由は…ない…??


どういうこと!?!?




『…あの…家に』


「まさか1人で帰んのか｡…送ってく､家どこだ」


『いやっ1人で帰れますから!!』


「いいから､ん」


『ぇっ…とぉ…』



手を握り勝手に歩き出す男性

やべぇまさかこのまま事務所連れていかれたらどうしよ



『はっ離してください…』


「…手痛てぇか」


『え､いや別に』


「ん」


『ちょっと!?』




手を握る力はまぁ弱いけどでも抜けない…

…この人優しいのか怖いのかわっかんない



「おい」


「あ?」


『えっ…純斗先輩?』


「その子離せよ､嫌がってるだろ」


「てめぇには関係ねぇだろダボ」


「その子は俺の大事な後輩なんだよ｡…いいからさっさと離せ」


「…おめーの男か」


『い､いや先輩ですけどそういうのじゃ…』

「俺の女だ｡…いいから離せ」



そう言い私の腕を掴んで抱き寄せる



「…ﾁｯ」

『あっ』



男の人は舌打ちをしてどこかへ歩いていってしまった


…なんか､悪いことしちゃったかな




「はぁ…大丈夫か?」




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