野良猫が住み着きました。[夢野幻太郎]

嘘. .38 ページ38

『げんたろげんたろ!!あっち行こ!!』


「本当に元気ですねぇ…」


『もうおじいちゃん遅い』


「ジジイはもう早く歩けんのじゃ､ゆっくり歩いてくれんかのう」


『やだーしらーん』


「酷い孫じゃ」


『うるせえやい｡あっあの服幻太郎似合いそう』


「どれです?」


『ほらこれ!…洋服も似合うね｡ムカつくわ』


「意味がわかりません｡…しかし､洋服を着るのもたまにはいいかもしれませんね」


『おお､興味持った?』


「ええ､少しは｡…Aはこれが似合いそうですね」


『ほんと?』


「はい｡ほら…とても可愛らしいですよ」


『うーいや…可愛過ぎないこの服｡私にはちょっと』


「何言ってるんですか?貴女はとても可愛いんですから､こういう可愛い服はとても似合いますよ」


『目見て言わないで…』


「おやおや照れて､可愛ええのう」


『うるっさい!!』


「では､これ買ってきますね」


『はっ!?いや私買うなんて!!』


「ほら､行きますよ」


『ちょっ…もう』




私だけがすごく楽しんでると思ったけど…幻太郎もすごく楽しそうだな


よかった




「さて…次はどこに行きましょうか」


『お腹減った､なんか食べよ』


「貴女いつもそれですね」


『そんなことありませーん｡何食べる?』


「Aの食べたいものでいいですよ」


『んー…じゃあ…んー』


「決まらないなら小生が行きたいとこに行きますよ」


『あっいいよ｡いつも私が行きたいとこに行くし』


「ではこちらです」


『どこ行くの?』


「前から気になっていた飲食店です」


『ふーん､じゃあそこに行こう』


「…手を繋いでいないとどこかへ行きそうなので､繋ぎますよ」


『どこも行かないし…まぁいいけど』



幻太郎の手をぎゅっと握り返して歩く

今まで何回か幻太郎の手を握ったりしたけど…今はなんか､すごくドキドキする




「あ､あそこです」







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