片想い［神宮寺寂雷］

診察::38 ページ38

『おお…沢山ある…』


「好きに見ていいよ」


『でも寂雷さん退屈じゃないですか?私の服見るだけなんて…』


「君を見ているから全然退屈ではないよ」


『…』




微笑みながら言うなんて…ズルい…



とりあえず見るか…



『んー…』


「こっちの方が似合うと思うよ」


『えっ…あ､そ…そうですか?』


「あ､もしかしてこっちにしようとしてたかい?」


『いや…どっちにしようか悩んでて…それならこっちにします｡他は…』


「ふふっ…服を選んでいる時の君は楽しそうだね」


『子供の頃はあまり買ってもらえなくて､私入院ばっかしてたから…』


「…ん､欲しいのはこれだけかい?」


『え…?』


「他に欲しいものがあるなら渡して」


『そんなっ悪いです!!』


「気にしないで｡…あ､この服似合いそうだね｡…ほら､すごく似合ってる」





寂雷さんは服を手に取り後ろから合わせてくる
後ろから抱きしめられているような感覚




『…ううあああもう寂雷さん…』



両手で顔を隠し俯く



『…それじゃあ寂雷さんが選んでくれたその2着､それで決めます』


「ん､少し待っていて」


『はい』






はぁぁぁ…すごく恥ずかしい｡しかも寂雷さんは元The Dirty Dawgのメンバー｡それとこの高身長…めちゃくちゃ視線が集まる





「ねぇねぇ､君すごく可愛いね｡この後用事ある?」

「用事なかったら一緒にカラオケでも行かない?」


『…ごめんなさい､今彼と一緒なんです』


「んだよ彼氏持ちかよ…」




1人の男がボソリと呟く




「つか彼女待たせる彼氏とかサイテー｡そんな男捨てて俺らと遊ぼうよ､んなクソ男より俺らといたほうが絶対楽しいぜ?」

「よーし決定､近くにカラオケあるから早く行こうぜ」




Aの肩を掴んで連れていこうとする男性




「っ…ちょっと君たち…」


寂雷が急いで駆け寄り声をかけようとする


しかし…




「うわっ!?!」




ドンッと肩を掴んでいた男の胸を押す





『…誰がクソ男だって?寂雷さんをそんな風に言う男の方がクソ男ですよ｡…私の彼氏を悪く言わないでくれますかね､私は今彼とデート中なんです｡言いたいことわかりますか?邪魔すんなつってるんです､わかったらさっさとどっか行ってください』


「なっ…てめぇ女だからっていい気になりやがって!!」


「…Aさんに手を出すなら私は許さないよ」





ガシッと男の肩を掴んで思い切り睨む




「っ…おいこいつThe Dirty Dawgの…」


「ﾁｯ…行くぞ」

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