片想い［神宮寺寂雷］

診察::2 ページ2

『ゲホッゲホッ…んん､熱っぽい…』


目が覚め身体を起こすとガンガンと頭が痛んだ
とりあえず壁に手をつきながら体温計を探す



『…39…』



2日続けて病院ってのは久しぶりな気がする


仕事は休んですぐに支度をし病院へと向かった







_____________







________







___



先生は今他の患者さんを診ているらしくて暫く待ってと言われた



座ってるのも辛い｡力を抜けばすぐにでも意識が吹っ飛びそう




「…あっ､Aさん｡どうぞこちらへ」


『すいません…肩､借りてもいいですか』



看護師さんの肩を借りながら診察室を目指す



「先生､Aさん連れてきました」


「ヒッ!!!」


「だっ大丈夫ですか!?」


「あぁ､気にしないで｡Aさんをここに寝かせて」



中に入ると私達を怖がっている男性と暗い感じの男性がいた

暗い感じの人…なんかたまに病院で見かける気がする




「それじゃ､2人とも｡また明日」


「はい､お願いします」


「…」


「おい一二三…たく､早く行くぞ」


「ちょ､まっ…」




手を引っ張り急いで診察室から出ていった




「大丈夫かい?」


ゆっくりと首を横に振る


先生は少し焦っているような顔で私を診ている

一体どうしたのか､そんな事聞くような余裕がないので聞けない




暫くすると診察は終わった
今日は具合が悪いから緊張も何もなかった｡いつもこうだったらいいのに




「診察の結果は普通の風邪だね｡…粉薬になるけど…いいかい?」


『こ､粉…』



私は昔から粉薬だけは無理だった
飲もうとすると吐き気がする




「…治ったらもう飲まなくてもいい｡だから頑張って」



どう返事をするかと俯きながら考えていると頭に何かが乗った


バッと上を見ると先生の手だった



「あ…ごめんね､つい」


別に嫌だったわけじゃない


というか…



「ん?さっきより顔が赤くなってるね…」



やっぱり…


『…それは気にしなくてもいいです｡それじゃ家で大人しくしてますね』


「ちょっとまって､まさか歩いてきたのかい?」


『え?そうですけど…』


「それは危ないよ｡…んー…」


『…知り合いに電話して迎えに来てもらいますから｡それじゃ､失礼します』




本当は知り合いなんていないけど

先生に迷惑はかけられない




『はぁ…』



タクシー…使えるほどのお金の余裕ないし…



やっぱ歩くしかないか






￣￣￣￣￣￣

診察::3→←診察::1

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す