147話 積もる話 ページ48
海賊「そういや、あの後どうだったんだ？金塊は見つかったのか？」
白石「お前こそこんなとこで何してんだよッ治った途端強盗か？」
白石にそう問われた海賊は何か言おうと口を開きかけるが、外からの屯田兵達の声に遮られる。
兵士「暴れてるのはあいつらかッ逃がすな！！」
杉元「ちょ！誤解だッ」
海賊「積もる話は後だ！どうせお前らも共犯だと思われてんだ、ついてこい！撒くぞッ」
海賊はそう言い店の外へと飛び出した。
ミツキ達も彼に続き走り出し、兵士から逃れるため裏道という裏道を駆け抜ける。
…
貴『まさか早速屯田兵に追われるハメになるとは…』
海賊「はははッ上手く撒けたんだから良いじゃねえか」
海賊はそう笑いながら、どこから拝借してきたのか座卓の上にドンとビール瓶を置く。
アシ「…これはなんだ？」
杉元「それは焼き鳥だよ。塩ダレとか味噌ダレをかけて食べると美味いんだ。かける？」
アシ「杉元のオソマは…こんなものにまで…？」
そんなやり取りを隣で見ていた白石が「にしても…」と話を切り出す。
白石「飯に酒にって…相変わらず顔が広いねえ、ボウタロウ」
海賊「この店の店主と馬が合ってな。頼んだら今晩はここの二階に泊まっていけってさ、感謝しろよ？」
瓶片手に呆れ混じりに言う白石に、海賊は楽しそうにケラケラと笑い酒を煽った。
そんなやり取りを眺めつつ、ミツキも彼の話に耳を傾けながら酒を酌む。
海賊「ところでよお、お前ら金塊はどうしたんだ？どこにあったんだよ、もう見つけたんだろ？」
貴『う…』
アシ「…」
海賊に問われ言葉に詰まる三人を他所に、杉元が口を開く。
杉元「金塊は─」
アシ「見つけた」
代わりに答える杉元と被せるように、アシㇼパはそう答えた。
それを聞いた海賊は「じゃあ…！」と嬉しそうに言葉を言いかける。
アシ「…でも、見つけた金塊はそのままにすることにした」
海賊「……なぜ？」
アシ「金塊が人の手に渡れば、また争いが起きて大勢が死ぬことになる…だから、私達は金塊を埋めたままにしたんだ」
海賊「…だから俺にも諦めろって？」
海賊はアシㇼパから視線を外し頭を掻いた。
海賊「……アシㇼパちゃんの考えに口を突っ込むつもりはねえが…」
アシ「タダでとは言わないッ」
アシㇼパはバッと立ち上がり、海賊の前に何か差し出した。
海賊「……あいつの煙草入れ？
これが金塊の代わりってことかい？」
アシ「この中身は、平太の集めた砂金の標本だ」
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作者名：ちあきんぐ | 作成日時：2024年3月12日 11時
