【金カム】坊主頭に興味が湧いて参 (ページ39)

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138話　ありがとうページ39

杉元は少しの沈黙の後、口を開いた。

杉元「…わかったよ、アシㇼパさん。

……ただ…」

「！？」

杉元はそう言い、ヒョイとアシㇼパを持ち上げた。

杉元「行かせない」

アシ「おい杉元ッ
おまえ結局わたしを…！！放せッ」

杉元「シライシ、峰山…
また会おうぜ」

アシ「降ろせッバカ！！」

杉元は持ち上げられた状態のままジタバタと暴れるアシㇼパをよそに白石とミツキにそう告げると、戸を開け飛び出していった。

パァンッ

白石「…！」

貴『杉元さんッアシㇼパさんッ』

杉元が飛び出してすぐに銃声が響き、脳裏に不安がよぎる。
しかしそれよりも、今はこの列車を止めなくてはならない。
ミツキは連結部の通路に出ると、バルブを回す為手をかける。

貴『…く……ッ』

なにこれ…固い…！！

先ほど尾形に手を撃ち抜かれたせいもあり手に力が入らない。
バルブにべっとりと鮮血が付着してしまい、余計に滑ってしまう。

貴『…！』

そんなことをしていると横からふわりと手が伸び、バルブはギギギと音を立ててようやく回り出した。

白石「ったく、言えば手ぐらい貸すってのに」

貴『白石さん…』

思わず顔がほころび、口角が上がってしまう。
きっと今私は、変な顔をしている。

人間のくせに狐の罠に引っかかるし、競馬でお金をすぐスるくせに、今みたいに頼れる時もあって。

貴『……白石さん』

白石「ん？」

…今

言いたい

貴『…ありがとうございます、ほんとうに…』

彼の目を真っ直ぐに見つめ、笑顔でそう告げる。

白石「！…なんだよ、急に改まって〜」

いきなりの言葉に白石は少し狼狽え、ふざけた調子でヘラヘラと笑った。

白石「……それに…
俺の方が助けられてる」

貴『え…？』

ギギギギ …

彼の一言が耳に届くと同時に、列車は鈍い音を立てて停車する。
白石はバラストの上に飛び降り、ミツキに手を差し出した。

白石「行こうぜ、ミツキ！」

貴『…っ』

なんでこんなにかっこよく見えるんだろう…
撃たれた箇所がズキズキ痛むはずなのに、いつの間にかそんなのどうでも良くなっていた。

ミツキは差し伸べられた手を取り、白石に引っ張られるまま列車から飛び降りふたりで線路を駆けて行く。

そんな中、馬が後方からこちらへ走って来るのが見えた。

白石「…！谷垣源次郎！！」

貴『生きてたんだ…！』

谷垣「白石、峰山！乗れ！！」

二人は谷垣の馬に跨り、先ほど杉元達が乗った機関車のあとを急いで追う。