【金カム】坊主頭に興味が湧いて参 (ページ36)

今日:18 hit、昨日:7 hit、合計:5,546 hit

135話　巣立ちページ36

お爺ちゃんのこと…？

永倉「土方さん …！」

その直後、後方から遅れて到着した永倉と夏太郎が二人の元へと駆けてくる。

夏太「 …… うそだろ …」

土方「ガムシン …」

永倉「……っ」

…

土方は思いを口にしたのを最後、
何も話さなくなった。

やがて頭は項垂れ、ミツキの頭を優しく撫でていた彼の手も止まり、だらりと床に落ちる。

貴『… ッ！！ひじかたさん …… ッ』

おいていかないで…

ひとりにしないでよ……

土方の胸の中で静かに涙を流し、まだ体温の残る彼の懐からそっと顔を上げ視線を通路の奥へ向ける。

車両の前方で何かを話す杉元達が視界に入り、杉元はそのままアシㇼパと白石を置いて車両の屋根へと登っていった。

アシ「…っ」

白石「…！アシㇼパちゃん！！」

それから程なくして、杉元のあとを追いかけるようにアシㇼパも続いて屋根に登っていく。

貴『…』

あんなに小さいのに

アシㇼパさんは覚悟してるんだ…

"…… いけ … ミツキ。守るんだろう？"

貴『……土方さん…』

…ここで立ち止まっては駄目だ

まだ名残惜しい土方の懐からそっと離れると涙を乱雑に袖で拭い、白石のいる方へと駆けていく。

白石「！ミツキ……いいのか？」

土方から離れ歩いてくるミツキに白石が心配そうに声を掛ける。

貴『……まだ終わってない。最後までついていきます』

白石「…そうか」

さっき見た人影が見間違いでなければ、上には鶴見中尉がいたはず…

自身の足元に転がる兵士から銃を拝借し、弾を装填する。

貴『…』

上へ登ろうと屋根の縁に手をかけた時、ふと後ろを振り返る。

貴『………

おやすみなさい、土方さん…』

白石「…」

ミツキは通路の奥で項垂れる土方に小さくそう告げ、そのまま屋根へと登っていった。

…

ミツキが屋根の淵に立ったその時、尾形がアシㇼパに銃口を向けているのが目に飛び込んでくる。

貴『尾形さん…！？』

ミツキは慌てて銃を尾形に向けるも容易く手元を撃ち抜かれ、銃が足元に落ちてしまう。

尾形「……巣立ちはしたのか？ミツキ」

貴『……ッなんで──』

─写真を持って行った？

そう問いただす前に、杉元が落ちていた刀に手を伸ばし掴んだ。

尾形の銃口が杉元に向く。

ヒュッ

「…！！」

尾形の手元から弾が放たれるよりも早く、アシㇼパの毒矢が尾形の腹部に放たれた。

矢が空を切る音と尾形のうめき声が同時に耳に届き、緊張が体を駆け抜けていく。