【金カム】坊主頭に興味が湧いて参 (ページ32)

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131話　男には男のページ32

貴『私の方は杉元さんより軽傷かと…』

そんなやり取りをしていると、いつのまにか半纏を着た白石がミツキの怪我した場所を覗き込む。

白石「…」

貴『な…なんですか？』

白石の険しい表情に少し緊張してしまう。
牛山も「どれ…」と横からヒョイっと顔を覗かせる。

牛山「…こりゃひでえな。おいシライシ、てめえの女くらいしっかり守れよ」

白石「…うっるせえなッわかってんだよそんなことッ！！」

貴『お…おんな…って……自分の責任くらい自分で負いますよ』

ミツキがそう言うも、分かってないな…と首を振られる。

牛山「男には男のやるべきこと…立場ってもんがあるんだよ。ましてや男の自分が、守るはずの女に守られるどころか怪我までさせて……かたなしだぜ」

白石「う゛っ」

貴『…？はあ』

グサグサと白石を突き刺す牛山の言葉の意味をミツキは理解出来ず、ただただ首を傾げた。

杉元「…あれ？そういえば…函館駅行きの汽車って、夜中と夕方に着く二本だけじゃなかった？」

ガラ …

杉元がふとそう疑問を口にすると同時に、牛山は入り口の扉を開いた。

貴『へ…？』

軍服の男達がズラリと席に座っているように見える。
さっき撃たれたせいで悪い幻覚でも見てるのだろうか…

白石「鶴見中尉の手下たち…追加の第二陣じゃねえかッ！！」

兵士「あれ？こいつらって……っ！？」

そう言うや否や、兵士たちは牛山によって無慈悲に勢いよく吹き飛ばされていく。
もうこの人だけで何とかなる気がする。

兵士「不敗の牛山だ！！」

杉元「シライシ！！峰山！！早く汽車からアシㇼパさんと降りろ！！」

アシ「谷垣ニシパ！やっぱり降りて！！」

パァンッ

「…っ！！」

アシㇼパが振り返り谷垣にそう呼びかけた直後、一つの銃弾が彼の腹を貫通していった。

その直後、横からドカッと谷垣を蹴り落とす足が見えた。

貴『…ハ…ッ』

戸を開けられてしまう…！

急いで戸を開けられぬよう体全体で押さえつけるが、相手の力の方が強いせいかギリギリだ。

貴『…くっ…だめだ…！開けられる…ッ』

白石「…っ」

そんなミツキに白石が駆け寄り、覆い被さるようにして戸を開けられぬよう更に押さえ込む。
その後外からガチャガチャと何度も開けようとするが、諦めたのか収まった。

しかしそれからほどなくして、今度は戸の窓から顔を覗かせる。
一度しかしっかりと見たことはないが、特徴的な見た目ですぐに分かった。

鶴見中尉だ。