【金カム】坊主頭に興味が湧いて参 (ページ22)

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121話　抱擁ページ22

土方「暗号を解く時に海賊房太郎の"函館"という情報が無ければ、この星の形はすぐには思いつかなかっただろう」

話を聞きながら五稜郭へ進んでいると、夕日の空が段々と暗くなっていくことに気付く。

貴『…辺りが暗くなってきましたね』

永倉「もたもたしてられん！急いで探すぞ」

白石「永倉ジイちゃん、さっきから焦りすぎなんだよ。札幌からここまで半日だぜ！？
ボウタロウのおかげで奴らを出し抜けた。それどころか、鶴見中尉は暗号を何日も解けないかもよ？」

貴『それでも、万が一のことを考えて急いでも損はないんじゃないですか？…というかその頭の両手はなんですか…？』

白石「何だと思う？」

貴『う…さぎ…？』

牛山「いいから行くぞ」

そんなやり取りをする中、白石はふと後ろを振り向いた。

白石「……おや？」

貴『ん？』

杉元「え？」

兵士「！こいつら…」

皆一斉に振り向くと、白石の後方から歩いて来ていた三名ほどの兵士と目が合う。

カンッ

都丹「しゃがめ」

都丹の言葉の直後、複数の銃声が都丹から放たれた。
それから少しして、ミツキは自身が白石の腕の中にいることをようやく認識する。

土方「他に兵士の足音は？」

都丹「近くにはいなさそうだ」

白石「怪我ない？」

貴「…え…えっと…』

白石に怪我の有無を聞かれるものの、動揺して上手く答えられない。
唐突な人肌とフワリと香る特有の匂いに脈拍が早まっていく。

貴『し…白石さんこそ…』

ミツキはそう言いながら、素早く白石の腕の中から抜け出した。

杉元「！電報を持ってる。発信人は…鶴見中尉！！
発局は札幌から一時間前だ…！！
"大至急五稜郭へ"…！！」

貴『一時間も…！』

白石「なんてこった…あっちも暗号が解けちまったんだ…」

あまりのショックに耐えきれなかったのか、フラフラと倒れかけるもアシㇼパに支えられる。
ミツキはそんな白石の背中を両手で押して支えた。

貴「何やってんですか…しっかりしてください』

白石「う…うぅ…」

アシ「あとどれくらいで鶴見中尉が来てしまうんだ？」

永倉「札幌から函館間の汽車は一日二往復、午後の汽車は四時間前に出てるから間に合ってないはず。
明日の朝の汽車に乗ってくるとして、丸一日は余裕があるのでは？」

白石「んなるほどッ！！」

杉元「いや…鶴見中尉が汽車の時間なんて守ると思うか？
札幌駅の車庫で待機している汽車を乗っ取って向かってくることだってやりかねない」