【金カム】坊主頭に興味が湧いて参 (ページ21)

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120話　運命の枝分かれページ21

そうして門倉の入れ墨は、五稜郭を表わす図の真ん中に配置された。

「……」

有っても無くてもいい…！！

「はこだて〜〜〜」

冷たい沈黙を破るように、次に止まる駅の名が車内に響いた。

…

そうして一同は函館へと無事辿り着いた。

杉元「イカの串焼き、ヒンナだぜ…」

貴『芳ばしくて歯応えもたまらない…！ヒンナ〜」

アシ「ヒンナヒンナ」

白石「イカってアイヌ語で何ていうの？」

イカの串焼きを頬張りながら、白石がアシㇼパにそう尋ねる。

アシ「エペッペッケ。枝のように分かれている、という意味だ」

貴『はえ〜』

杉元「"運命の枝分かれ"…なんかそんな素敵なウエペケレが、イカにはありそうだね」

貴『そんな話があるんですかね〜』

アシ「なんにも無い！イカに全然興味ないから！」

そんなことをぼんやり考えるミツキ達に、アシㇼパがイカの串焼きで頬をいっぱいにしながらそう答えた。

貴『なあんだ〜ないのかぁ〜』

杉元「イカ可愛そう…」

永倉「急ぐぞ！！歩きながら食えッ」

そんなくだらない話をしながら、ミツキ達は五稜郭へと向かった。

貴『ここが五稜郭…？』

アシ「五稜郭って何なんだ？」

永倉「"お城"の跡だ。箱館奉行所といって、江戸幕府の役所がこの星の中心にあったのだよ。
ロシアの南下政策からの防備や欧米との外交…
蝦夷地の政治を担う場所として作られた」

土方「そして…我々幕軍が官軍と戦った最後の地。
箱館戦争の大舞台だ」

貴『……ここでお爺ちゃんも戦ったんだ…』

必死に戦ったはずなのに、よく生き残れたものだと驚く。
祖父から土方歳三のことを聞かなければ、この人たちと出会うことはなかった。
ただ憎しみと寂しさを抱えたまま、ひとりで死んでいただろう。

貴『………"運命の枝分かれ"…かぁ…』

白石「…？」

永倉「土方歳三はこの函館で死んだとされておりますよ」

土方「兵どもが夢の跡…五稜郭で我々の夢は終わり…
そしてまた、五稜郭から新しい夢が始まる」

杉元「いまは無人とはいえ、陸軍が居座っていたところに金塊を隠すとは…灯台下暗しと言うべきか…
とにかく大胆不敵だぜ」

都丹「のっぺら坊はどこから金塊を五稜郭まで運んだんだ？」

牛山「金塊はそもそもどこにあった？」

そう二人が疑問を投げかけると、白石がとある方向を指差した。

白石「海賊房太郎がアイヌの爺さんから得た話によれば…ここから南西へ七キロ…
函館山のロシア領事館だ」