【金カム】坊主頭に興味が湧いて参 (ページ14)

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113話　英雄譚ページ14

白石「杉元ー！！いるのか！？」

貴『アシㇼパさん！出口はこっちです！！』

ミツキと白石が出入り口の扉を開けて何度も中に呼びかけるが、一向に姿は見えない。

白石「ゴホッ…ものすごい煙だ…」

貴『……私行ってきますッ』

白石「やめろ！無茶するな！！」

止める白石を置いてミツキが煙の中へ飛び込もうとする。
しかし、何かに持ち上げられたのか体が宙に浮き、煙の外へと戻された。

海賊「おうおう、元気がいいな」

貴『…っ海賊さん！？』

海賊「下がってなミツキちゃん、白石由竹。俺が探しに行く」

白石「こんな煙じゃ絶対ムリだ！！危険すぎる！！」

海賊「…白石よぉ、幸せは天から降ってこねぇ。死物狂いで掴みに行くんだ」

貴『…掴みに行く……』

幸せは自分の手で、力で掴む…
よく聞く"良い言葉"なのに、この人の口から聞くと何故だか余計に凄みを感じてしまう。

白石「……杉元なら不死身だから…絶対に自力で脱出してくる！！死ぬぞ…ボウタロウ」

海賊「…死なねえよ。これは語り継がれるボウタロウ王の英雄譚の一場面に過ぎないからな」

海賊はそう言うと深く酸素を吸い込み、煙の中へと消えていった。

それから暫く経つも、海賊が戻ってくる気配はない。

白石「杉元ォ！！アシㇼパちゃん！！房太郎〜〜〜！！」

貴『…遅いですね…やっぱり私も探しに行きます！』

白石「……待て、ひとりで行くな！一緒に行こう！！」

貴『…！』

そうして二人は建物の中へ入り、杉元達を必死になって探した。

白石「杉元！！立てるか！？」

貴「外はこっちです！！』

杉元「白石…峰山…！」

その後白石とミツキは杉元に肩を貸し、三人で建物の外まで避難することができた。

…

貴『…！海賊さんだ』

別の出入り口から出てくる海賊を見つけた途端、杉元が銃剣を彼に向け突進していく。

杉元「アシㇼパさんを返せ！！アシㇼパさんをどこにやった！！」

海賊「…どっちか死ななきゃ収まんねぇか」

杉元と海賊の蹴られ殴られの争いを見るに、海賊がアシㇼパを連れ去ったのだとミツキは理解した。

海賊「降参！！」

バッと両手を上げ、いつもの笑みでそう彼は宣言する。

貴『！！杉元さん…！』

ダァァン …

白石「落ち着け杉元！！」

すんでのところで白石が銃口を上へ逸らさせ、海賊に弾が当たることは回避した。

白石「殺しちまったらアシㇼパちゃんがどこか分かんねぇだろうが！！」

海賊「アシㇼパちゃんは第七師団に奪われちまった…」