100話 浪漫 ページ1
海賊「そのおかげか俺にだけは感染しなかった。気持ちではね除けたんだな！！」
そんな海賊の話を聞いていると、彼の手下が江別に着いたことを告げた。
海賊が乗員たちのいる場所に行っている間に、白石がこっそりと二人に耳打ちする。
白石「海賊房太郎のあの話しぶり…"アイヌが最初に金塊を隠した場所"を、すでに突き止めたのかもな」
杉元「でも、それだけじゃあ見つけられないと本人も言ってる」
白石「刺青人皮は役に立たないってウワサ…お前らはどう思う？」
杉元「…俺は噂に右往左往せず、刺青人皮集めは継続すべきだと思うぜ…！！」
貴『私も同じく』
白石「まあまあ…ひとまず手を組むフリをして情報を引き出そうぜ」
貴『大丈夫かなぁ…』
ミツキはなんとなくだが、嫌な予感が漂っている気を感じ取る。
そんな時、ちょうどよく海賊が下から戻って来た。
海賊「さあ、終点の江別港に着くぜ。やっぱり分け前に納得いかないかね？」
分け前って…さっきの上級の家臣にするという話のことだろうか…？
貴『…冗談だと思ってた…』
海賊「…お前ら、砂金の量はどのくらいって聞いてる？二十貫だろ？アイヌの爺さんの話では砂金がこれくらいの鹿皮の袋にパンパンに詰まっていてな…」
海賊はそう言って、袋の大体の大きさを手で表す。
海賊「ひと袋で十六貫あったらしい。その袋が千二百以上…山のように積んであったってよ」
"千二百以上"
貴『…っ』
やはりそのくらいはあるんだ…。
海賊「どうよ？浪漫があるよなァ！！」
海賊の言葉に白石が鼻水を垂らし恍惚とした表情をぽーっと浮かべており、ミツキはさりげなく鼻にハンカチを当ててやる。
海賊「…一緒に夢を追えなくて残念だよ」
貴『…！』
海賊の急なトーンの変化に不安感が過ぎる。
ミツキは腰に携えていた刀の柄に手を置く。
アシ「背嚢の中を見られたぞッ」
背後から矢を放つ音とアシㇼパの声がした。
ミツキは構えていた刀で背後にいた手下の握っていた銃を弾き飛ばす。
貴『…な…っ傾いて…！？』
船長が急な旋回をしたのか船が大きく傾き、前方の木に杉元と海賊が引っかかって川に落ちてしまった。
貴『杉元と海賊が川に…！』
白石「アシㇼパちゃん泳げる？」
アシ「あ…足が届けば！！」
貴『私が行きます！』
白石「…二人ともそこにいてッ」
代わりにミツキが飛び込もうとするも白石はさっさと飛び込んでしまい、ポカンと取り残される。
貴『……！白石さん！？』
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作者名：ちあきんぐ | 作成日時：2024年3月12日 11時
