【金カム】坊主頭に興味が湧いて弐 (ページ7)

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56話　眠れぬ夜ページ7

それから少しして、インカラマッのアシㇼパを呼ぶ声がした。

イン「上に来てください！」

アシ「…！」

アシㇼパもはしごで上へ登っていく。

それから何があったのか正確には分からないが、泣き喚くアシㇼパとそれを抱えたキロランケが上から降りてきた。

アシ「離せ！！すぐそこにいるんだぞ！！」

キロ「駄目だ！！二人を撃った奴が近くにいるッ！」

貴『…！じゃあ、さっきの銃声って…』

白石「杉元が…？ま…まじかよ…！どうする…？」

貴『！谷垣さん？！」

谷垣「俺が行ってくる！白石と峰山はアシㇼパから離れず、予備の舟で待ってろ！」

イン「行っちゃ駄目です！貴方も撃たれます！」

まさかこんなことになるなんて…狙撃手が他にもいたのか…？尾形はどうなったのだろう…？

色々な考えがぐるぐると頭を駆け巡りながら、ミツキは予備の舟へ向かう為白石達についていった。

白石「多分これだぜ…予備の舟って。ここでみんなを待とう」

貴『キロランケさん達遅いなぁ』

そう話していると、キロランケが遅れて走ってきた。

白石「あれ？インカラマッちゃんは？」

キロ「どうして俺達の動きが第七師団に筒抜けだったか…わかるだろ。あの女しかいねぇんだぞ。連れてくわけにはいかん」

そう言うキロランケの腰についたマキリは、中身は無く鞘だけが残されていた。

貴『…』

まさか…彼女を殺したのか…？
今まで聞いたことのない冷たいキロランケの声に、ミツキの体が強張る。
キロランケの横から、同じく尾形が遅れて現れた。

尾形「舟を出せ、逃げるぞ。谷垣は鶴見中尉に捕まった」

アシ「アチャと杉元は…？」

尾形「…」

長い沈黙の後、尾形は口を開く。

尾形「近付いて確認したが、二人とも死んでいた」

…

"待ちなさい！貴方さっき屋根の上から！"

"信じないでアシㇼパちゃん！キロランケは…"

インカラマッはアシㇼパに何かを伝えようとしていた。
あの時、自分だけでもその場にいるべきだったかもしれない。
ミツキは先へ進む舟の中で、ひたすら同じことだけを考える。

夜中。
ミツキは壁に背中を預け、夜中だというのに何かをずっと話している尾形とキロランケを観察していた。

貴『…』

あの時都合の悪いことを言われそうになったから殺したのではないか。
そんなことをつい考えてしまい、眠れないのだ。

白石「んん…どうしたぁ…？アシㇼパちゃん…」

パシッと頭を理不尽に叩かれる寝起きの白石。
可哀想ではあるが、ミツキはフフッと笑う。