90話 烏合の衆 ページ41
「誰か！！助けてくれッ誰かああ！！」
貴『！！今誰かが…！』
白石「え？」
アシ「こっちだ！！」
そうして声のする方へ駆けつけ、なんとか落ちかけていた男を救出することが出来た。
平太「ありがとうございます…助かりました…
……嵩ニイ…」
貴『…？』
白石「…もしかして砂金掘り師？」
平太「え？はい…道具も下に置いてきたのによくおわかりで」
男をまじまじと観察していた白石がそう尋ねると、どうやら当たっていたらしい。
白石「だってその舶来のゴム長靴、かなり高価だろ。猟師が山で履くもんじゃないよな」
貴『はぇ〜…』
杉元「たしかに、ここまで何人か砂金掘り師に会ったけど、わずかに採れたら酒とバクチに消える貧乏人ばっかだったなぁ」
白石「金の匂いがするぞあんた…」
貴『…』
"さすが"は白石、とでも言うべきだろうか。
金目のものには本当に鼻が利くようだ。
杉元「実は俺達も砂金を採りに来たんだよ。この雨竜川で砂金が採れるって聞いてね」
平太「ああ、そうなんですか！探せばまだ結構ありますよ」
…
川まで少し歩いていると、平太が口を開く。
平太「…皆さんどういったご関係？」
白石「まあ…"仲間"ってやつ？」
杉元「いや…"烏合の衆"」
平太「…ノリ子…小屋に…」
貴『…？』
まただ…
この男はまるで他の人と話しているかのようなことを、ブツブツと先ほどから呟いていた。
不思議な人だ。
平太「おふたりがやろうとしてるのは"板どり"という方法ですね。板どりは場所選びが難しいですよ」
杉元「どこ掘ったら良いか教えてくれないか？」
白石「お願い〜」
平太「そうですね…このへんならああいう大きな岩の下とか…」
平太からそう教えてもらい、言われた通りの場所を二人は掘りだした。
アシ「峰山、火を起こすぞ。手伝え」
貴『了解！』
…
白石「はうううぅ…水が…冷たいよぉ」
白石の嘆きが聞こえ、ミツキがよっこいしょと腰を上げる。
貴『お湯なら出来てますよ〜』
白石「！ミツキちゃぁん！お願い！」
ミツキはアシㇼパの出してくれたバケツにヤカンを傾けお湯を注ぎ、白石がそこに手を突っ込んだ。
白石「ふひいいぃ………ヘブンン…」
貴『大変そうですね…白石さんが休んでる間私が代わりましょうか』
白石「へ？ホントォ？」
「やったー」と嬉しそうにニコニコする白石にフフッとミツキが笑う。
白石「…んや、やっぱいーや。せっかくならその右手が治ってから頼むぜ〜」
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作者名：ちあきんぐ | 作成日時：2024年3月2日 7時
