【金カム】坊主頭に興味が湧いて弐 (ページ39)

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88話　一発でページ39

杉元「！…へへッじゃあ…
"一つも弾キズのない毛皮"なら？」

貴『！？』

そんなことが可能なのか…？

白石「毛皮を傷つけずに斃すだと？そんなの絶対に不可能だッ！ましてや射撃の下手な杉元なんかに…！！」

杉元「てめーはさっさと峰山から離れろッえろ坊主！！」

「不可能に決まってる！！」と首を横に振りながらも白石はミツキの体にピッタリとひっついて鼻の下も伸びきっており、それにイラついた杉元が一喝した。

杉元「とにかく…一か八かやるしかない！さっさと上がって来いシロクマ！！」

ザバァ …

貴『！！流氷がッ！』

杉元「！？うおわっ」

杉元の乗っていた流氷の端にいきなり白熊の全体重をかけられたせいでバランスを崩し、勢いよく反対側の流氷にゴロンと転がり白熊の背後に移動する。

白石「！もうダメだ撃て！頭巾ちゃん撃てぇ！！」

その時、ズドンと銃声が聞こえ、白熊は倒れた。

貴『？…！なるほど、後ろの穴から撃ったんだ…！』

白石「やった！！杉元の野郎やってのけやがった！！」

杉元「ぐふぅッ」

アシ「杉元ぉッ！！」

負傷しているというのに無茶をすると思っていると、やはり負担がでかかったのか杉元も倒れてしまった。

杉元「へへ…やったぜ、アシㇼパさん…」

アシㇼパと杉元が話している間にミツキがふと振り向く。

貴『あ…あぁ〜〜！シロクマがぁッ！！』

白石「へ？…あぁ！！熊が流される！！」

ユラユラと流氷に乗り、白熊はどんどん遠くへ流されていっている。

白石「ああ〜〜〜」

貴『どんどん離れていきますよ…』

「盛大に"送って"あげたかったのに…」とブツブツ独り言を言う白石の唇は先ほどよりもずっと真っ青だ。

アシ「白石、唇が真っ青だぞ」

貴『しっかりしてください』

白石「…っぐふふ…」

ミツキがそう言って温めようとより一層強く抱きしめていると、「フンフン」とヴァシリが何かを教えてくれていることに気付く。

貴『どうしたんですか？…！あれはアイヌの舟！？』

アシ「！乗せてもらおう！」

…

その後、無事アイヌの人々の乗る舟に一緒に乗せてもらうことが出来た。

男「真っ白なキムンカムイだって？戻って探しに行くか？」

アシ「いや、こいつらが死んでしまう」

貴『本当に惜しかったですね…』

…

それから暫くして。

アシ「みんな！北海道に戻ってきたぞ！」

貴『はぁ〜…長かったぁ……』

アシㇼパがこちらへ振り返り嬉しそうにそう告げ、ミツキは安堵の溜息を吐いた。