【金カム】坊主頭に興味が湧いて弐 (ページ37)

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86話　クリオネと白熊ページ37

貴『…追ってきませんね』

白石「やったぜ！船の煙が離れていく！ひとまず逃げ切った！！」

そう言った直後、白石とミツキの腹がキュロロロと鳴る。

貴『…うーん…』

白石「なんかホッとしたらおなか空いたね」

アシ「トッカリなら氷の上で寝てるかもしれない…探せ、杉元」

「魚で良いんだけどな…」と言いその場に座り込む白石に続いて、ミツキもその隣に腰掛けた。

貴『！そういえば、飴ならありますよ。ハイ』

ミツキは飴の入った缶から一粒取り出し、それを白石の方へ差し出す。

白石「おお、飴かぁ〜！あ〜ん」

貴『！？あ…飴がッッ！！』

手渡しするつもりで差し出した飴を手元からパクッと食べられ、急なことに思わず飴の入った缶をまるごと側の水面に落としてしまった。

貴『…白石さんのせいで…』

白石「えぇ〜俺のせい〜？……おや？
なんかちっこいのがいっぱい泳いでる！！」

そう言って白石が先ほどミツキの飴缶が落ちていった水面に手を入れた。

貴『ほんとだ〜なんか可愛い』

確かに、何か小さいのが水の中でふよふよしている。

杉元「クリオネだ！！雑誌で見たことある！！」

貴『へぇ〜…食べられるんですかね？』

白石「アイヌの調理法でなんか美味しくいただく方法はないの？」

アシ「ない！！私達はこの生き物を食べないから、アイヌ語の名前もない」

杉元「食べない生き物は名前もつけてもらえないのね…」

白石「可愛いんだからつけてあげて〜？」

そんな話で一行はキャッキャウフフと談笑しながら先へ進んだ。

…

貴『それ本当に食べるんですか〜？』

ミツキが見守る中、白石はちゅるんとクリオネを一匹だけ食べる。

白石「臭いッ」

白石は臭さのあまりクリオネを勢いよくブッ！！と吐き出し、ミツキがそれを見て笑い転げた。

杉元「…鶴見中尉達は船で稚内まで先回りしてるはずだから、出来るだけ遠回りして裏をかかないと…」

白石「過酷だな…」

それから暫く、鶴見が政権転覆と満州進出を視野に入れていることやキロランケの極東民族への思い、それらの話をミツキは後ろで聞いていた。

白石「うおわぁボゴボゴッ！！」

貴『白石さんッ！？』

その時、ミツキのすぐ真後ろから白石の叫びが聞こえ振り返ると、白石が白熊に背後から襲われている最中だった。

「ええ〜〜！？」

貴『なんでシロクマがこんなところに！？』

杉元「いつの間にこんな近くまで…！全然気づかなかったッ！」

貴『…っ！白石さん！生きてますかッ！！』