83話 酔っ払い ページ34
貴『……あぁれえ〜？杉ちゃんだ〜』
杉元「ん？杉ちゃん…？」
白石「あれあれぇ〜？眠れなかったのかい〜不死身の杉元さんよぉ〜。
兵隊さん達にアシㇼパちゃんを引き渡して、鶴見中尉の飼い犬になるんだよなぁ〜？」
杉元「聞こえの悪いこと言うんじゃねぇよ…！」
白石「昔は誰にも懐かねぇ一匹狼だったんだぜぇ？」
貴『はえ〜〜日和ったんですかあ〜』
そう言ってキャッキャと笑うミツキは白石以上に出来上がっており、相当の数の酒を飲んだことが分かる。
杉元「峰山は飲み過ぎだ！白石も止めろよ！
…それと、あん時とは状況が違うだろ！アシㇼパさんのことを考えたら、これしか選択肢はねぇだろ！」
白石「アシㇼパさぁん！アシㇼパさぁーんっ！
お前さぁ！惚れた未亡人に金渡すのはどーなったんだよっ！」
杉元「…っもらう取引はしてるさ！その人が治療を受けられるだけの額は…！」
白石「俺はいくら貰えるんだ？えぇ？俺が皮算用してたわけ前はぁっ！何百円ぽっちじゃねーぞコラァ！！」
杉元「金金ってきたねーんだよいっつもてめーはッ！！」
杉元は白石に突然殴られるも即殴り返し、白石は情けなく嘔吐して地面に伏せてしまった。
ミツキは横で地べたに座り、そんな二人をぼんやり見ている。
白石「……ッ…お前がアシㇼパちゃんを正しい道に導くってかぁ？恋人でも嫁でも娘でもねぇのに…」
貴『わしも束縛する人好かんねぇ〜』
杉元「うるせぇーッお前は水でも飲んどけよッ！！」
白石「今のお前はなぁ！人生に守る者が出来たと勝手に思い込んで冒険が出来なくなった、ショボショボくたびれ男だッ！！」
それから二人は真剣に何か言い合っていた様子だったが、ミツキはその場で寝落ちしてしまった。
…
そして、とうとう鶴見中尉が大泊へと到着した。
鶴見「先遣隊、御苦労であった。お前達ならやれると信じていた」
「そちらのお嬢さんがアシㇼパだな？」と話しながら鶴見は帽子を取る。
白い何かを額に装着していて、なんとも不思議な人だとミツキは思った。
鶴見「…よぉし、アシㇼパを駆逐艦へ！杉元と白石と……君は峰山と言うのかな？」
貴『…はい』
突然名を呼ばれ、返事をするまでに2秒ほどかかった。
鶴見「ふむ……三人は明朝の連絡船に乗り、稚内で待機していろ」
「え？」
アシ「ちょっと待て、どうして一緒じゃないんだ？」
鶴見「…乗員定数の都合で、全員は乗れない」
アシ「稚内で待機してろということは、合流しないのか？」
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作者名：ちあきんぐ | 作成日時：2024年3月2日 7時
