82話 居場所 ページ33
杉元「あばよ、爺ちゃん！みんな達者でなー！」
その直後、何かを話していたチカパシがソリから落ちた。
貴『！チカパシが…！』
谷垣「止めてくれ！一人落ちた！大丈夫かチカパシ！」
白石「早くこーい！」
チカ「…」
チカパシは黙ってエノノカ達の方を見つめている。
白石「置いてっちまうぞー。どうしたんだぁ、あいつ？」
すると「少し待っててくれ」と谷垣が言い、ソリをおりてチカパシに歩いていった。
そして何か話し合った後、谷垣だけがソリに戻った。
白石「あばよーチカパシ！」
アシ「元気で暮らせー！」
貴『…見つけたんだ…自分の居場所を』
私も見つけたいな。
自分の居場所。
…
そして一行はまた暫く進んで大泊にたどり着き、旅館の一室にて。
ひと息ついたところで、アシㇼパが話し始めた。
アシ「私はまだ鶴見中尉に会ったことがない。どんな男なんだろう…」
杉元「大丈夫だよ、心配ない」
アシㇼパの言葉に、ミツキが「私も会ったことないなぁ…」と、ぼそりと呟く。
そこからは金塊やアイヌ、北海道独立の話を二人がしているのを、ぼんやり畳の上に寝そべって聞いていると、白石が部屋から出ていくのが見えた。
便所だろうか。
貴『んしょ…』
私も外に行こうかな。
そう思い立ち上がり旅館の外へ出ると、白石がまだ近くにいたようで目が合った。
白石「！お、ミツキちゃん！どしたの？もしかして俺についてきたの〜？」
貴『あれ？てっきりウンコしに行ったのかと思ってましたよ。白石さんこそ、何かしに行くんですか？』
ミツキがそう尋ねると言いにくいことなのか白石は
「う…っ」と言い淀み、飲みに行こうと誤魔化された。
…
そうして居酒屋にて、二人はべろんべろんになる程に酒を飲んでいた。
酔っ払ってもなおグイグイと酒を仰ぎヤケ酒するミツキの様子に少し心配になってくる。
白石「……ミツキちゃあん…のみすぎじゃなあい？」
貴『ウ〜〜ン……あ』
白石「うんん〜？どしたの〜？」
へろへろになって座卓に突っ伏していたミツキは、何かを思い出したのか上半身を怠そうに起こした。
貴『おかね〜…あるっけえ…』
「…」
白石「わ……割り勘でどぉ〜お？」
貴『い〜〜よお』
そうしてミツキ達は楽しそうに笑うと、再び酒を喉に流し込んだ。
…
その後二人は朝まで町を飲み歩き、ふらつく足どりの中お互いの肩を組むことでなんとか歩けていた。
貴『も〜〜いっけんん！もっっと！』
白石「のみすぎだぞお〜！」
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作者名：ちあきんぐ | 作成日時：2024年3月2日 7時
