【金カム】坊主頭に興味が湧いて弐 (ページ30)

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79話　腐った血縁ページ30

貴『……………
…久しぶりだね。なんでこんなところに？』

母だ。
久しく見るその顔は相変わらず自分にそっくりで、嫌でも血の繋がりを感じさせられる。心底不快だ。

母「なんでってあんたね〜！お爺ちゃん死んじゃってから急に北海道に行ったなんて聞いたから探しにきたのよ〜！」

貴『…誰から聞いたんだよそれ』

なんで今更そんなことを。
お気に入りの長男はどうしたんだろうか。

そんなことをイラつく脳内で考えていると、ふいに後ろからヒョコっと白石が顔を覗かせた。

貴『…！』

白石「ミツキちゃ〜ん、ひとりで何見てんのぉ〜？…ん？」

母「あら、貴方は恋人さんかしら〜？どうもぉ、ミツキの母です。この子我儘で大変でしょ〜？」

やめろ。今更良い母親を気取る気か。
そんなことしたって、もう遅いんだよ。

白石「え、ミツキちゃんのおかあさん！？い…いえいえ〜そんなことないですよぉ！こ、こちらこそ度々世話に…」

一見すると、とても平和な光景。

いやだ。いやだ。こんなの正しくない。
そいつは母親なんかじゃない。
長男だけを愛し可愛がって、私を蔑ろにした。
クズ以下なんだ。白石。そんなやつと話すな。
そいつにとって私は家族じゃない。

貴『……白石』

白石「！ど、どうしたの？」

貴『…ちょっとだけ向こうに行っててくれませんか』

ミツキは「え、でも…」とまだ何か言いたげな白石の背中を押し、他へ追い払った。

母「…何か言いたいみたいね、私に」

貴『知ったようなこと…。なんで今更探しになんて来たのさ。まさか、今頃良い母親になろうとしてる？馬鹿じゃないの』

母「…縁を切りにきたの」

貴『は？』

そんなことを話していると、店の者が様子を見に顔を出してきたので、ミツキは母を無理矢理路地に引っ張った。

…

貴『…で、なんで縁を切ろうなんて？わざわざそんなこと言いにここまできたわけ？昔っから大好きなあいつだけしか見てなかったくせに…』

母「……貴方の言うことは正しいわ」

貴『……は？』

この人は何を言い出すんだ。

母「…今思えば、貴方よりもお兄ちゃんの方にばかり構いすぎていたわね……本当に酷いことをしたわ。
平等に愛してあげられなかった」

"愛してあげられなかった"？

貴『………自分がやったことあっさり認めちゃってさ……まさか私と縁を切ることで、自分がやったことから逃れられるとでも思ってるの…？
今までのこと全てが赦されるとでも？』

ミツキの手が、腰に携えた刀の柄を強く握る。