71話 亀裂 ページ22
十何年ぶりに会う彼は、最初に何を言うのだろう。
キロ「………
めちゃくちゃイイ女になったなぁ…！」
「…」
ソフ「ユルバルス…」
「…ッ！？」
ソフィアはそう一言言うと、キロランケに重い平手打ちをした。
その後、何を言っているのかは分からないながら、歩き始めるソフィアにミツキ達はついていった。
貴『…追ってくる気配はないですね』
白石「うまくいった…！脱獄の決行を漁師の多い明け方にして正解だったぜ」
アシ「…私の父のことを教えて欲しい。ソフィアしか知らないアチャのことを」
そうして、ソフィアとキロランケ、アシㇼパがウイルクの話をしているのを、ミツキは後ろで静かに聞いていた。
そんな時、監獄の方から銃声が微かに聞こえる。
貴『……銃声』
そう振り返ると、尾形もミツキと同じく立ち止まり音のした方角を見ていたが、再び歩みを進めた。
少し進んでいると、白石が列を外れた。
貴『どうしました？』
キロ「白石、どこに行くんだ？」
白石「先行ってて〜！」
そう言って白石が少し離れたところで何かしているのを遠巻きに見ていると、彼の足元の流氷がパックリと割れていく。
貴『！？白石さん！』
白石「！どんどん広がる…！」
キロ「流氷は海流で簡単に動くんだ！間違っても海に落ちるなよ！とにかく西へ向かえ！先で合流できる！」
しかし、白石のいる先の方の流氷は繋がっている様子がない。
白石「戻った方が繋がってそうだ！急いで追いつくから待っててくれ！」
アシ「白石気をつけろ！一人で落ちたら助からないぞ！いいか！絶対に落ちるなよ！落ちるなよ！」
そうして迂回しに走っていく白石を見送った後、キロランケ達は何か足りないことに気がついた。
キロ「…！峰山はどうした！？」
アシ「！まさか…」
尾形「あいつならさっき走ってったぞ」
キロ「…はぁ…まったく……」
…
それから暫く、白石はキロランケ達と合流するべく迂回しにひとりで走っていた。
白石「…！！ぉわっ！やばいやばい…！！」
白石の乗った流氷のバランスが崩れ、白石は海に落ちないよう必死に流氷にしがみつく。
白石「ち○ぽの御守り…っ！これだぁ！！」
ウイルタ民族から貰った御守りでなんとか滑り落ちずに済んだ。
…と思いきや、御守りの先端が白石の体重を支えきれず、バキリと折れてしまった。
白石「…！？ウソぉぉぉお…っ！！！」
海目掛けて落下していく白石の両手を、誰かが掴んだ。
白石「……！！？」
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作者名：ちあきんぐ | 作成日時：2024年3月2日 7時
