【金カム】坊主頭に興味が湧いて弐 (ページ3)

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52話　求婚ページ3

まだ関係が微妙だったのかチカパシは谷垣に注意され、そのままチセを出ていった谷垣をインカラマッが追いかけていった。

求婚かぁ…
そんなことを考えながら、ふと隣にある白石の器に目をおとす。

貴『…ふふ』

白石「うん？」

貴『もう全部食べたんですね〜』

白石の器はスッカラカンであった。
ちょっとだけ何かを期待した自分を呪う。

白石「えへっ！エライ〜？」

貴『はいはい、えらいえらい。おかわり貰ってきますよ』

そう言って白石の器を手に持ち、白石の方を見るといなくなっていた。

貴『あえ、どこに？』

チカ「コイツ！谷垣ニシパのご飯食べてる！！」

白石「むふ…むふ…」

貴『このタコ坊主意地汚いなぁ〜ッ』

…

それからしばらくして、杉元達の掘っていたトンネルは門倉という男の宿舎に開通し、中で次の作戦を立て始めた。

門倉「次の新月の晩にのっぺらぼうがいる方は…第四舎第六十六房だ」

白石「侵入してアシㇼパちゃんをのっぺらぼうに引き合わせ、何事もなかったように脱出出来れば大成功だ」

土方「失敗すればこのトンネルはすぐに見つかり、門倉はお尋ね者だな」

門倉「…その時は土方さんにお供します。死んだ俺の親父は貴方と共に戦った旧幕府軍でしたから。その方が親父も喜ぶ」

貴『…』

ミツキの場合は祖父が土方と共に戦っていた。
思わぬ共通点に、なんとなく親近感を覚える。

そう話をしていると、土方がトンネルの穴を睨んだ。

土方「…盗み聞きしとらんで上がってこい」

貴『？』

その時、穴からニョキっと尾形が顔を覗かせた。
もぐらか…？

土方「聞いてるぞ。尾形百之助は自刃した第七師団長の妾の息子…ただの金塊目当てで軍を脱走したにしては、出自が厄介だ」

尾形「第七師団の上に立つなんて冗談じゃねぇよ、めんどくせぇ…てめぇらだって、お互いに信頼があるとでも言うのかよ」

そう言ってまた、尾形は穴に戻っていく。
非常にシュールだ。

…

そしてついに、月のない漆黒の夜。

杉元「のっぺらぼうのいる舎房へ侵入するのは、俺と白石、峰山とアシㇼパさん。先導するのは都丹庵士…」

杉元の「行こう！」という声と共に、ミツキ達五人は宿舎を出ようと戸を開ける。

土方「ミツキ、これを持っていけ」

貴『これは…刀？』

そう言い手渡されたのは、土方の持つ刀とは違う別の刀。

貴『…大切に使わせていただきます』

感謝を述べて刀を腰に携え、ミツキは杉元達の後に続くように宿舎を飛び出した。

貴『！灯りが…』