【金カム】坊主頭に興味が湧いて弐 (ページ2)

今日:25 hit、昨日:21 hit、合計:6,093 hit

51話　家族ならページ2

そしてふと、尾形がまたチタタプと言っていないことに気付き、彼のそばににじり寄る。

アシ「尾形〜…みんなチタタプ言ってるぞ〜」

貴『言わないままで良いんですか〜？』

しかし尾形が口を開く様子はない。
う〜〜んと頭を捻りに捻ったミツキは、後に自身が後悔する言葉を尾形に吐いてしまった。

貴『じゃあじゃあ！このミツキちゃんがなーんでも一回だけ言うこと聞いてあげちゃいますよ〜。なぁんてね〜』

純度百%の冗談をミツキがキャッキャと楽しそうに言うと、尾形の口から小さく「チタタプ」と聞こえた。

貴『あ、え…？！』

アシ「！言った！！今尾形がチタタプって！！」

そんな中ミツキは、こちらを横目に見る黒い瞳と目が合い、尾形の口角が少し上がったのを確かに見た。

そしてミツキは調理した食材達を其々の器によそってやった後、自分の分を持って座る場所をキョロキョロと探していると、白石がこちらにちょいちょいと手招きした。

白石「ミツキちゃん、こっちこっち！」

貴『よいしょ…あ』

白石の隣に座り自分の器を置いてから、白石、ミツキ、尾形の順に並んで座っていることに気がつく。

尾形「…あ？なんだ、俺の隣が嫌なのか？」

貴『まさか〜滅相も御座いません〜』

さっきのチタタプの後、ミツキは尾形の言う事を一回だけ聞くとぬかしてしまったのだ。
それ以降、いつその一回が来るのかと緊張していた。

杉元「これが本当のチタタプか〜！」

貴『美味しい…！いくらでも食べられる〜…ハッ』

白石「"いくら"だけにってか〜？ププッ」

貴『…』

おかしいな、なんだか寒いや…
そんな時、牛山がインカラマッに声を掛ける。

牛山「あんた、良い人いるのかい？」

そう牛山から聞かれるもインカラマッが答えないでいると、何を思ったのかチカパシが「はい！」と谷垣の食べかけの器を差し出した。

谷垣「何のつもりだ、チカパシ…」

貴『？』

アシ「女が男の家に行ってご飯を作り、男は半分食べた器を女に渡し女が残りを食べたら、婚姻が成立する」

杉元「アイヌの求婚のようなものか…」

貴『はえ〜』

なるほど、そういうことか。
やはりあの二人はデキていたのね〜、とニヤニヤしながら箸を進める。

チカ「本当の家族になれば？」

その言葉に、ミツキはドキリとした。

貴『家族、か…』

私が求めたもの。
手に入れられないもの。

尾形「…」

白石「ヒュー！いいね、おアツいぜ〜！」

二人を茶化す白石のふざけた声で、ふと現実に戻される。