ゴールデンレトリバーとロシアンブルー

Boyfriend 5 ページ15

ｰAside

2度目の武者修行はA、B、Ｃの3つのルートに別れていた。

Aルートは力矢さん、健太さん、北人さん、私、樹さん、龍さん。

Bルートは陣さん、陸さん、翔吾、翔平さん、昂秀さん、拓磨さん。

Ｃルートは瑠唯さん、彰吾さん、壱馬さん、海青さん、慎さん。



翔吾 “A、頑張りや。”

A “む、無理！”

翔吾 “無理ちゃうって。
他の人とも仲良くなるチャンスやん。
力矢さんの言うことちゃんと聞くんやで？ええな？”

A “…うん…。”

翔吾 “ん、いい子やな。
分からんとこはちゃんと分からんって言って教えてもらうんやで。”

A “…うん。”

翔吾 “よし。”



そして練習中、分からないところが出て来た。

…どうしよう。

周りを見渡して、私は樹さんに教えてもらうことにした。



A “あ、あの、いっ…いちゅきしゃん！”



…噛んだ。

しかも、2回も。



樹 “はい？”



振り向いた樹さんの唇は、笑いをこらえるように端がひくついていた。



樹 “どうしました？”

A “あ、あの、えっと、その…。”

樹 “？”

A “わ…分からないところがあるので、教えてください…。”

樹 “いいですよ、どこですか？”

A “えっと…。”



樹さんは丁寧に教えてくれた。



A “ありがとうございます。”

樹 “ところで、Aさん。
俺の名前は樹であって、いちゅきじゃありません。
…樹、って言ってみてください。”

A “い…いちゅ、あ。”

樹 “もう1回。”

A “いつ…、いつき、さん。”

樹 “もう1回。”

A “い…、いつ…、いつきさんっ。”

樹 “もう1回。”

健太 “樹、あんまりAのこといじめちゃダメだよ。”

樹 “いじめてないですよ。”

A “いじめられました。”

樹 “ちょっと！”



こんな風に少しずつ、私は皆と打ち解けて行った。

Boyfriend 6→←Boyfriend 4

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す