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けどそれは、過去の話



私ももうじき堕神となる



記録書に記されるとすれば



五条家の許嫁
加茂憲倫を名乗るかつての恋人の姿をした何かに
無理矢理嫁がされ、身篭ったと錯覚



とかになるのかな



私はともかく
伊織さんやほかのご先祖達は
もっと苦しんで
もっと悲しんで
そうして涙にくれて
あるいは恨みながら
この世を去っていった



その思いを繰り返したくないのにまた誰かが繰り返し
死ぬことも生きることも出来ず
光の当たらない闇に繋がれていく



我ながらなんて道を選択したんだろうと思ってしまった



でも今更後になんて引けない



【ソナタハジキニ闇ニ繋ガレル】
【嗚呼悲シイ……マタ一人…闇夜ニ繋ガレル】



頭の中で響くその声が聞こえる度に
私は自分でこの体をコントロール出来なくなっている気がした



「伊織がまさか堕神になると私も思わなかったよ」
【貴様ガ堕神ニサセタノジャ!】
【忌々シイ、ナブリ殺シテヤルワ】



憎らしい



恨めしい



絶対に許さない____



伊織さんの強い思いが湧き上がると同時に
もうこの体は私の意思で動いてなんていなかった



「死ねぇぇぇぇぇっ!!!!!」



腹の底から出たその声に
私ってこんな声出せるんだ、なんて思いながら
見ていることしか出来なかった



なんて言えばいいのかな、VR?
自動プレイでVRしてるって言えばいいの?
そんな感じだった



「奥様……」



夫婦喧嘩と言っていいかも分からないほど
派手な争いをぼんやりと見ていたら
不意に常磐の声が聞こえてきた



顔を見るに常磐は
あからさまに気が動転しているようだった



「衝撃を与えれば思い出すと思ったのかな」



そんな常磐に羂索は笑う



「君のその浅はかな考えが主人の死を早めたんだよ」
「…は……?」
「君が思い出させたせいで禁術が発動したんだ」



そんな、と言わんばかりに私に視線を向ける常磐の顔は
徐々に青ざめていった



「君が殺すんだ、Aを」



その一言だった



「……私が…奥様をこうさせたのですか……」



違うわ常磐、貴方のせいじゃないの
禁術を使わざるを得ない状況に陥れたのは羂索よ



そう言いたいのに声はもう出ない



今私、どんな顔をしてるんだろう



「……私の家は代々五条家に仕え
私も例に漏れず悟様に仕えました。
ある日悟様がA様と婚約され
母の巴が教育係に任命されてからは
私もA様の側近として共に歩き
全身全霊をかけて仕えた次第です。
この方が五条家の当主夫人になるその日を夢見て」



〃→←〃



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設定タグ:夏油傑 , 五条悟 , 呪術廻戦   
作品ジャンル:恋愛
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作者名: | 作者ホームページ:http  
作成日時:2024年1月9日 21時

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