盲目少女につく暖かい嘘【文スト】

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目を覚ませば、そこはまた病室のベッドの上。
けれど先程とは違う。
皆が傍にいた。
少女が目を覚ますとぐしゃぐしゃに泣き崩れた敦とそれを慰める泉鏡花。
その隣にはほっと胸を撫でおろす谷崎潤一郎とその妹のナオミ。
喜びのあまり万歳をしている宮沢賢治。
福沢、乱歩、与謝野、国木田も笑みを向けている。
そして太宰もいた。

「A…よかった…。敦君が助けてくれなきゃ…君は今頃…。」

屋上から落ちた後、敦が異能で少女を助けたらしい。
よく見れば敦は大きな怪我はないが擦り傷だらけだった。


治が泣いてる…。
そうか…ずっと一人だと思ってたけど……織田作の言う通りだ…。


「私ね…織田作に会ったよ。」

「え…。」

「織田作が生まれ変わりたがるように…また会えるように…素敵な女性になるって約束したんだ…。治……手伝ってくれる…？」



「…ああ。織田作が惚れた君ならきっと…。」

「きっと…。」




拝啓、織田作之助様

お元気ですかと聞くのは少し変でしょうか。
私は元気です。
あれからすごく大変でした。
治は退院までずっと泊りがけでいたり、敦君は私がまた飛び降りないかと毎日来るし、国木田君なんか退院するまでベッドに手錠をつけておく、なんて言い始めて。
本当に大変でした。
けど、楽しかったです。
退院してからは今までできなかった探偵社の仕事もできるようになりました。
毎日が楽しいです。
あとこれは治には内緒なんですけど、こっそりポートマフィアのアジトへ行ったんです。
中也も芥川君も皆元気そうで、新しい樋口って美人さんもいました。
中也には帰ってくるのかと鬼の形相で聞かれたけど、きっぱり断ってきました。
治に聞いたよ、人を救う側であれ。織田作の最後の言葉、私も守るよ。
そして素敵な女性になる、また会う時に驚かないでね。
ではまた会う日まで。
貴方を愛しています。

観月Aより

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