19 ページ22
「…。」
少女は目を覚ました。
見知らぬ部屋、独特の薬品の臭い。
どうやら病室らしい。
あの後少女は泣き叫び、気絶してしまった。
それを与謝野と安吾が病院へと少女を運んだ。
「……夢じゃ…ないんだ…。」
愛する人が目の前で息を引き取った事、太宰が織田作と偽り、自分はそれにすがって真実から逃げていた事、全てを思い出した。
「___!!」
「____!?」
病室の外で言い争いが聞こえる。
太宰と安吾の叫び声だ。
「何故彼女に余計な事を言った!!」
「余計な事とは何ですか!元はと言えば君があんな嘘をつかなければ!!」
「よしな!ここは病院なんだよ!」
「っ…!」
「…。」
与謝野の一言で二人は黙り込む。
「…安吾はもう帰ってくれ。」
「……わかりました、失礼します。」
安吾は病室に入ってくる事なく、帰ってしまった。
知らなかったとは言え、安吾も責任感を感じているのだろう。
「…A!」
与謝野と太宰が病室へ入ると、目を覚ましている少女に慌てて駆け寄った。
「よかった…。」
太宰は喜びを見せるもどこか悲しげな表情。
そんな太宰に少女は胸を痛める。
「A、ごめん…私は……ずっと君に嘘を…。」
「ごめんなさい…。」
「え…。」
「悪いのは全部私。治の嘘、本当はわかってた。織田作が死んだっていうのもわかってた…。でも信じたくなかった…だから治の嘘にすがって…自分を偽って…。だから治は悪くない…、悪いのは心が弱い私…。」
少女は涙を流す。
ズキズキと胸が痛む。
少女の心は黒く染まっていく。
悪いのは私……私がいなければこんな事にならなかった。
ワタシガキエレバ…モウダレモクルシマナイ…。
58人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
にゃあめ - 素敵な作品をどうもありがとうございました! (2021年2月15日 19時) (レス) id: bcb659b3e6 (このIDを非表示/違反報告)
れんれんれれれ(プロフ) - 感動しちゃって只今涙目です!! ほんとにほんとに最高のお話でした!! (2017年10月9日 15時) (携帯から) (レス) id: f40e23ddec (このIDを非表示/違反報告)
午後の猫茶(プロフ) - みぃさん» 似てないかもしれませんという意味です。紛らわしくてすみません; (2017年10月4日 10時) (レス) id: d26337f2bc (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 午後の猫茶さん» あ、エセって意味じゃなかったらすみません。 (2017年10月4日 4時) (レス) id: d62fbb3902 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 午後の猫茶さん» 違います。 似非が非似になってるんです。 (2017年10月4日 4時) (レス) id: d62fbb3902 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:午後の猫茶 | 作成日時:2017年9月29日 11時