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織田作と私が出会ったのはもう何年も前の事。
私は元々は孤児だった。
異能はその時からわかっていたけど、まだまともに制御ができず施設の物を壊してしまっていたため他の子供からは白い目で見られていた。
近づけば怪我をする、近づけば腕を引きちぎられる、そんな噂を立てられ、誰も私に近づかなかった。
院長先生も他の先生達も私を皆と違うところへ隔離して、私を危険物扱いした。
けれど私は何も壊さなくて済むと安心していた。
隔離されてから二年が経った頃、異能力者がいるという事で尋ねてきた人達がいた。
森鴎外という男と太宰治という青年。
「君が噂の異能力者かい?いやぁ、噂の内容には全然合わない可愛い子じゃないか。」
「…君が使えなければ即刻消すから。」
「け、消す…?」
最初は何を言われているかわからなかった。
けれど何となくわかった、私は頼りにされているのだと。
私は引き取られ、本部へと連れられた。
そして彼と出会った。
「あんたが新人のお嬢ちゃんか。よろしくな。」
「…。」
これが織田作との出会い。
そして私が彼に一目惚れした瞬間だった。
私は毎日彼に好きだと告白し続けた。
最初は断られていたけどあの日の一週間前、織田作はようやく頷いてくれた。
幸せだった。
けれどそんな幸せも長くは続かなかった。
ミミックに大切な物を壊された織田作は単独でミミックのアジトへ乗り込んだ。
私は織田作を救おうと先に救助に向かった治の後を追った。
けれど間に合わなかった。
織田作は死んだ、私の目の前で。
大切な人の死。
私の心が壊れていく音が聞こえる。
夢なら醒めてほしかった。
けれどそれは叶わない。
かすかに臭う火薬の臭い。
彼の身体から流れる血の臭い。
それらがこれは夢じゃないと言ってくる。
「あ…あぁ……。」
これは現実なんだ。
私はその真実を受け止めきれず、もう何も見ないように目が見えないふりをした。
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にゃあめ - 素敵な作品をどうもありがとうございました! (2021年2月15日 19時) (レス) id: bcb659b3e6 (このIDを非表示/違反報告)
れんれんれれれ(プロフ) - 感動しちゃって只今涙目です!! ほんとにほんとに最高のお話でした!! (2017年10月9日 15時) (携帯から) (レス) id: f40e23ddec (このIDを非表示/違反報告)
午後の猫茶(プロフ) - みぃさん» 似てないかもしれませんという意味です。紛らわしくてすみません; (2017年10月4日 10時) (レス) id: d26337f2bc (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 午後の猫茶さん» あ、エセって意味じゃなかったらすみません。 (2017年10月4日 4時) (レス) id: d62fbb3902 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 午後の猫茶さん» 違います。 似非が非似になってるんです。 (2017年10月4日 4時) (レス) id: d62fbb3902 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:午後の猫茶 | 作成日時:2017年9月29日 11時