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「今…なんて?」

少女は尋ねる。
先程の言葉が自身の聞き間違いであってほしいからだ。

「え…だから…

“織田作さんが死んでから”

って…。」

「っ…!」

聞き間違いではなかった。
少女の中で何かが壊れようとしている音が聞こえる。

「な、何言ってるの?織田作は生きてるじゃない…死んだのは治で…。」

否定しなければ。

「貴方こそ何を言ってるんですか。」

否定しなければ。

「死んだのは織田作さんで、生きているのは太宰君じゃないですか。」

「!」

否定…。

「何をそんなに、貴方だって見たはずです。」

しなくちゃ…。

「織田作さんの死に目を。」

「そんなはずは…な…。」


わかっていた。
本当は織田作がいなくて、私の目の前にいるのは治。
でも、それでも織田作の死が信じられなくて、信じたくなくて、見ていないふりをしていた。
治の嘘にすがって、自分を騙していた。
自分の記憶に嘘をついていた。
目が見えないなんて嘘、全て見えていた。
見えないふりをしていただけ。

蓋をしていた記憶は溢れ出す。
本当の記憶、ずっと見ないふりをしていた記憶。
織田作の死。


「いや……いやああああああ!」


思い出したくのない、苦しい真実。

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にゃあめ - 素敵な作品をどうもありがとうございました! (2021年2月15日 19時) (レス) id: bcb659b3e6 (このIDを非表示/違反報告)
れんれんれれれ(プロフ) - 感動しちゃって只今涙目です!! ほんとにほんとに最高のお話でした!! (2017年10月9日 15時) (携帯から) (レス) id: f40e23ddec (このIDを非表示/違反報告)
午後の猫茶(プロフ) - みぃさん» 似てないかもしれませんという意味です。紛らわしくてすみません; (2017年10月4日 10時) (レス) id: d26337f2bc (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 午後の猫茶さん» あ、エセって意味じゃなかったらすみません。 (2017年10月4日 4時) (レス) id: d62fbb3902 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 午後の猫茶さん» 違います。 似非が非似になってるんです。 (2017年10月4日 4時) (レス) id: d62fbb3902 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:午後の猫茶 | 作成日時:2017年9月29日 11時

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