検索窓
今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:15,120 hit

62話 ページ12





忌み子は不幸を招く。頭の中でそのセリフを思い出しただけだったのだが、無意識に声に出してしまったらしい。




「不幸を招く?」

『!!!』




月夜の後ろには、いつの間にか白狼が立っていた。

何時からそこにいたのか、やっと目を覚ましたんだね、もう平気なのか、もっと休んだ方がいいのではないか、思うことは沢山あったが、それを言葉にする事が出来なかった。


なぜなら、彼は怒っているから。





「ここにいたんだね、探してたよ。」


ゆっくりと歩み寄ってくる。言葉こそ優しいものの、声は鋭く冷たかった。


月夜は確信してしまった。彼は自分を嫌ってしまったと。助けてくれたというのに恩を仇で返すことになってしまった。殺しかけたことできっと憎んでいる。



『ぁっ、ご、ごめんなさいっ!!!』

「!?」



白狼の目の前で土下座をして謝る月夜。突然の事で白狼は目を丸くした。




『ごめんなさいっ、ごめんなさい…っ!私のせいで、本当にごめんなさいっ!』


その声は酷く震え、涙が次々と土に吸収される。白狼は止めようとしたが、下しか向かない彼女は気付かなかった。




『ごめんなさい…ごめんなさいっ、拾わなければ、渡さなければよかったっ。こんな妹でごめんなさいっ!』



流石の白狼も我慢の限界か、無理やり彼女の腕を引っ張って顔を上げさせた。





「君のせいじゃないっ!だからもう謝…」





そこで言葉が止まった。白狼の目は徐々に見開いていく。

恐怖と絶望。その2色に染まった妹の瞳から目を離せなかった。

彼は自覚していた。さっき彼女に話しかけた声が酷く冷たかったことを。






違う、僕は君を憎んでなんかない。恨んでなんかない。貝殻を貰ったことだって後悔してない。

僕はただ、聞きたくなかったんだ。







「君はっ、君は忌み子なんかじゃないッ!!!」



君がそうやって、自分を貶すのを。




63話→←61話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (17 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
28人がお気に入り
設定タグ:オリジナル , 愛され , 幼女
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

鈴桜(プロフ) - 完結おめでとう〜〜!! 早く完結させたね…まだ、二週間しかたってないよ…夢主達のこのあとの話しも気になります (2020年8月23日 13時) (レス) id: 02b3e189b5 (このIDを非表示/違反報告)
鈴桜(プロフ) - まさか、この神様があの貝殻をおいていった犯人かな?そして、白狼〜〜!!頑張って夢主を助けてあげて〜〜!!新しい神様可愛い (2020年8月22日 21時) (レス) id: 02b3e189b5 (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - 鈴桜さん» 単純に妹を溺愛したい白狼を書きたかったです笑 (2020年8月22日 20時) (レス) id: 6cecd18213 (このIDを非表示/違反報告)
鈴桜(プロフ) - まさか……兎…それも他の動物達も仲良しとはびっくりしました…宿でも何かありそうだけど、白狼はシスコンですね (2020年8月21日 17時) (レス) id: 02b3e189b5 (このIDを非表示/違反報告)
鈴桜(プロフ) - え〜〜!!式紙が、人に変身した…それも、夢主を知ってる感じみたい…誰の式紙ですかね?っていうよりどの神様のだろう?? (2020年8月21日 7時) (レス) id: 02b3e189b5 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:めい | 作者ホームページ:http  
作成日時:2020年8月19日 8時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。