8話 ページ8
＿＿＿名前がない。
その事実がまた白狼と時和の怒りを招く。だがここで怒りを露にしてしまったらせっかく落ち着いてくれた彼女が怖がってしまう。
そう思った二人は何とかしてその感情を抑えた。
「…じゃ、じゃあさ、今まで、なんて呼ばれてたの…？」
白狼の質問に彼女は戸惑った。
二人はもしかして嫌なことを思い出させたのかと心配になり、無理しなくてもいいと付け加えた。
会話はそこで途切れ、部屋は暫く沈黙が続いた。
「一つ、いいか？」
そんな中、時和の低い声が響いた。
彼女は少し怯えながらもコクっと頷いた。そんな彼女の震える姿を見て、白狼はまた辛そうに唇を噛み締めた。
「…無理なら断ればいい。少し、声を出してくれるか？」
「こ、声？」
時和の頼みに彼女だけでなく、白狼も目を見開いた。
そしてその意図を悟ったのか、白狼はばっと彼女の方を振り向いた。そういえばさっきから一言も発していない。
ただ単に怯えているからってのも有り得る。だが……
『……っぃ……ぁ……』
「う、嘘……」
時和は「やはりか」と窓の外を睨みつけた。その方角は言うまでもなくあの村がある所。
白狼はわなわなと必死に怒りを抑えるが、どうやら限界らしくて、耳だけでなく尻尾、そして牙までもが出てしまった。
幼女は彼のその姿に驚いた。そして、彼らが自分達が神であるということを信じざるを得なかった。
「ねぇ、行っていいよね？僕、もう限界なんだけど。」
「…もう少し我慢しろ。他の奴らにも説明する必要がある。」
時和の言葉に白狼は窓の外を一睨みし、元の姿に戻った。
その光景を、幼女はただ呆然と見つめることしか出来なかった。
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鈴桜(プロフ) - めいさん» 夢主よかった……そして、白狼!!格好いい！！風の神様だからスピードが早いんですね。続き楽しみに待ってます (2020年8月18日 16時) (
レス) id: 02b3e189b5 (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - 鈴桜さん» わあ、嬉しいです！刀剣乱舞じゃないのに、読んでくれるとはっ。頑張ります(￣^￣)ゞ (2020年8月17日 19時) (レス) id: 6cecd18213 (このIDを非表示/違反報告)
鈴桜(プロフ) - 新作〜〜!!待ってました。どんな風になるかワクワクしながら読ませていただきます (2020年8月17日 19時) (レス) id: 02b3e189b5 (このIDを非表示/違反報告)
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