□階段□ ページ11
後ろから抱き締める形でそう耳元で呟く夏樹は、そのまま私の目線を繋いだ。
静かに大きなその手を私の頬に添えてそのまま唇を合わせた。
何度も何度も。唇を離してた目を見つめ、また甘くなる。いつも以上に狼な夏樹に、少し驚いた。
幾回キスをしたことだろう、すっ、と夏樹は私の頬から指を滑らす。そのまま、自分のベッドに倒れて壁側を向いてしまった。
あ「夏樹?」
夏樹「お前本当冷静すぎ。こんなにキスされても何とも思わねぇの?」
一切こちらに顔を向けずにそう言う。夏樹らしくない言葉だった。
私は夏樹の横になっているベッドに腰を掛けた。視線は合わず、夏樹は壁側、私は前方を見据えていた。
私が腰かけた位置は丁度、曲げている夏樹の足の間。少し動くと夏樹のパンツと私のジャケットが触れる距離だった。
あ「そんなに冷静じゃないって。…どんな夏樹も好きだし。ああやって何度もするのも好きだよ。何とも思ってない訳じゃないし…」
後ろから何だよそれ、と言う少しふてくされた声。ばか、と笑いながら体を起こして後ろから私の体を包み込む。私の首元に顎をおいて話す為、耳に息がかかって不思議な感じ。
夏樹「俺のこと好きなんだな」
顔は見えないけど多分少し笑ってる。いつもより声が柔らかいから。
あ「そりゃね。じゃなかったらこの体制蹴ってます」
夏樹「ばぁか」
あ「うわ、人権侵害」
夏樹「煩いな。本当に隠し事、無しだからな?」
夏樹のトーンは妙に神妙で分かってる、と笑って返すしかなかった。…もう少しで変われるから。
--ねぇ権力をもて余す悲しい王子様…?
---…
次の日、予め連絡していた陸のプランを決行することにした。でも、初めてそのプランが打ち砕かれたんだ。
「痛くも痒くもない」だとさ。
圧力をかけに話をつけたが金時は聞く耳を持たずそう吐き捨てた。これできっとその場にいた全員が気づいた、私たち子供は…単なる道具でしかなかったということに。
親の力はどうにも出来ず、特別採用枠の撤廃の話だけ進んでいった。私たちにとって好条件なのに心にかかる霧の正体が掴めない。
…親は子供と言う名の道具を使って親子ごっこをしていた、ただそれだけの話なのに。
あ「夏樹…」
歩いていた足を止め、振り返る夏樹
夏樹「どうした」
あ「陸のプランでもダメってさ、やっぱり道具だった」
陸「A、特サが無くなるのには代わりないよ」
苦し紛れの陸の顔
あ「…親が出てきた時点で、私たちは無力だ」
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Mai(プロフ) - 見たい!つづき (2021年10月7日 16時) (レス) @page21 id: c466e4313f (このIDを非表示/違反報告)
ゆいまる(プロフ) - 更新楽しみにしています! (2021年1月3日 13時) (レス) id: a0d73dbad3 (このIDを非表示/違反報告)
りな☆(プロフ) - 一気読みしました!更新頑張ってください!面白いです〜! (2017年5月11日 23時) (レス) id: f0df852b63 (このIDを非表示/違反報告)
??¦菅田 すぬ ?(プロフ) - 美姫さん» ありがたいお言葉頂戴いたします。ハイ!遅くなりますが、更新させていただきます!今後もよろしくお願いします! (2017年4月4日 18時) (レス) id: c8b02da013 (このIDを非表示/違反報告)
??¦菅田 すぬ ?(プロフ) - 東雲さん» ありがとうございます。なかなか更新出来ず申し訳ございません。必ず完結させられるよう頑張ります! (2017年4月4日 18時) (レス) id: c8b02da013 (このIDを非表示/違反報告)
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