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昼食を挟んで昼過ぎ。おれ達はニューディの事務所にある会議室とやらを目指して廊下を歩いていた。

「皆さん、こちらです」

ビルの構造や施設に熟知したマヨさんが一歩先を歩き、おれ達は尾ひれのようについて行く。話によるとそろそろ着くらしいけど…

「…ふむ、ここですな」

「はい、プレートにもありますね…」

マヨさんのお陰で迷わずに辿り着けたらしい。あまり事務所を行き来するのも躊躇われる身分だからおれは本当に文字通りついて行っただけだけど。

「…あ、あのう…すみませぇえん…私、人がいるかもしれない部屋に入るのは少し苦手で…代わりにどなたか開いて下さると嬉しいのですが…」

「ウム、なら僕が蹴りでぶち破ろう」

「ヒロくん違うって、多分そういう意味じゃないから」

「ふふ、ならば俺が」

一歩下がり構えを取るヒロくんを制止していると、タッツン先輩が難無く扉を開いた。

「…来ましたね、『ALKALOID』」

途端に部屋の中から飛ばされる『Knights』現リーダー、朱桜司くんの不服そうな声。慌てておれは部屋に入り込み謝る。

「ご、ごめんなさい、遅れちゃって!ほら皆も入って謝って!」

「おや、遅れてしまっていましたかな。時間指定などはされていなかったと聞きましたが…」

「えぇ。確かに昼に来い、とだけお伝えしましたから。…怒っている訳ではありませんよ」

そう言って紅茶を一口啜り、にこりと微笑む。

「う、早とちりしたァ…ってマヨさん、せめて部屋に入ろ?」

おれは壁の向こうに隠れるその人に声を掛ける。ヒィ、と返しながら顔を覗かせた。

「すみませんすみません、不景気な顔ですみません…」

「やだァ、マヨイちゃんったら。アタシ達クラスメイトでしょォ?気兼ねなくお入りなさいな♪」

「うぅ……では…失礼いたしますぅう…」

テーブルに腰掛けた鳴上先輩の一声で、ようやくマヨさんを含め全員が部屋に収まった。これで話し合いを始められるか、そう全員が思った頃。

「…マヨイ先輩、僕の後ろに」

「え、えっと…?」

いきなりヒロくんがマヨさんを下がらせた。いくらヒロくんでも突拍子も無く動く訳ではないはずだから何か意味があるんだろう。

そう思い突っ込まないでいると、司くんの向かいで突っ伏していた人物が眠そうに身体を起こした。そして目を擦りながらも、異様に構える二人を目視する。

「…ん…ふぁあ、ふ……あれ、あんた…」

「ヒィ!『朔間』の…!」

「…………」

入室いきなり何かがおっ始められそうで、おれの冷や汗は止まらなかった。

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作者名:冴波せつ | 作成日時:2020年5月4日 12時

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