【ポケモン】らっこ家生態大暴露。４【オリキャラ】 (ページ7)

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ただのメモ用紙なら見過ごすものの、今回はそうはいかなかった。そこに並べられた、見知った書体の文字は――

オウハ「『皆に買ってくるお土産』……」

クレハ「お土産となー？」

オウハ「えぇ、ここに……」

あたしの声を皮切りに二人も一緒に覗き込む。考えなくても分かる、これはあの愚弟の文字だ。所々丸っこい感じが意外性をつくだろ、と何年も前に自慢していたか。

さらに読み進めていくと、弟妹とあたしの名前が並んでいた。

――クーたろ→ウインディのぬいぐるみ
ユズリハ→ムーランドのぬいぐるみ
オウハ→木の枝

クレハ「兄者、ウインディのぬいぐるみを買ってくれるのかのー！」

オウハ「なんであたしが木の枝なのよ良い度胸してるじゃない…」

ユズリハ「………」

内容からして恐らくこれは愚弟がジョウトに行く際に持って行くはずだったであろうお土産リスト。無造作に千切られ、しかし対照的に用紙自体は丁寧に置かれていた。端に「絶対忘れない！」の文字と、そして暇だったのか辛うじて見えなくもないエルレイドのイラストが。これならあたしの方が上手いわね。ばっちり忘れているけれど。

しかし思わず用紙をくしゃくしゃにしてしまうところだった。何とか耐えて、机に食品サンプルを置くようユズにお願いする。これで二つともが目立つ箇所に置けた、気付かないはずは無い…と、信じたい。

ユズリハ「……上手くいくように、…念かけとこ……」

オウハ「それは期待出来るわね。」

クレハ「んふふ、兄者驚くのー！」

オウハ「大丈夫、きっと驚くわ。反応も見たいし、その時はこっそり廊下から覗きましょうか！」

クレハ「御意！」

ユズの念掛けがあるなら効果は望める。これまでにもその強運のお陰で何度も成功してきたのだ、らっこ家の悪戯にユズの念は必要不可欠な存在となりつつある。…ただ、その強運により当の本人への悪戯は失敗してしまうけれど。

オウハ「それじゃあ出ましょうか。コウハのポケモンの様子も見ておきたいし…」

クレハ「うむ！お庭で皆と遊びたいのじゃ！」

オウハ「ﾊｧｧｯ可愛い……」

またもや涙と共に部屋の入口へとスライディングを決める。長女たるものこんな醜態を晒すわけにはいかないのに。まぁこれもいつもの事なので、ユズは特に気にも留めずに自室へと向かう。あたしとクレハは一旦居間へ。

後は時が過ぎるのを待つだけとなり、それぞれが妙な緊張感と期待を携えて、逃げるかのようにしてその場を離れた。