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オウハ「や、やだちょっと…大丈夫？」
キルリア「だ、大丈夫ですか…？」
一瞬だけきょとんとした後、慌ててその子の元へと駆け寄る。しかしえぐえぐと泣きながらかつじたばたと暴れたので、思うように近づけない。
それでも意を決して無理やりに身体を引っ付かみ、キズぐすりを荷物から取り出した。すかさずキルリアに支えてもらいながら見えた傷口にスプレーをかけ、適切な処置を施しておく。
その間にも痛さと驚きで暴れられたけれど、何とかあたし達は耐えて、そのココドラの手当を終えた。
オウハ「…ふう、これで大丈夫！なはず！ほら、歩いてみなさいな」
抱えていたココドラを地に降ろしてやる。その頃にはもう泣き止んでいて、大人しくその辺を歩き回った。やがて、痛みがしなくなったのかココドラはこちらに向かって満面の笑みを浮かべる。
とすん、とあたしの中の何かに"それ"が刺さった。
「…ココ♪」
キルリア「…そうですか、良かったです。これからは足元に気を付けて下さいね。……オウハ様？」
オウハ「ねぇキルリア」
キルリア「…？はい」
あたしは二歩ほどココドラの元に近付き、両膝を抱え込んでぼやいた。
オウハ「…この子、うちの子にしたくない？」
キルリア「…えっ？」
「……？」
恐らく突拍子もないことをあたしは言っている。これでは日頃弟のキルリアがしている事と変わりないではないか。そう自分では分かりつつもあまりのココドラの可愛さに、仲間にしたい衝動があたしを急き立てたのだ。
オウハ「…ダメかしら？」
じっとココドラを見つめながらキルリアに訊き直す。しかし存外にも、早くに彼女からは同意する声が聞こえてきた。
キルリア「…いいえ、私共は貴方様の意向に従いますから。そうでなくとも、このココドラさんはどうも目が離せない所があります……」
オウハ「ふふ、そうね。ちょっと放っておけないわねぇ……このままだと、また怪我してどこかで泣いちゃってたりしかねないわ」
不思議そうに首を傾げるココドラに向かって、分かりやすいようにモンスターボールを掲げてあたしは言った。
オウハ「ねぇあなた、良かったらあたし達の家族にならないかしら」
いつも弟に鬼の形相だと言われる為、出来るだけ柔和な笑みを浮かべる。顔の横でボールをちらつかせ、なんとか思いを伝えようとアピールをすると。
「…ドラッ♪」
ココドラはあたしの足元に擦り寄り、先程同様の可愛らしい笑みを以てして答えを返してくれたのだ。
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作者名：らっこ | 作成日時：2020年2月24日 18時
