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オウハ「だぁあ……ごめんなさいキルリア、ちょっと休憩しましょう……」
そう力無く零しながら木の幹に手を遣りへたり込むと、前を行っていたキルリアはとてとてと駆け寄り、同じように隣に座った。足取りはしっかりしていて息切れすらせず、その上心配そうにこちらを覗き込む彼女に、あたしは申し訳なさと嬉しさを込めて頭を撫でる。
せっかく集中してくれていたのに、あたしときたら。ごめんなさいともう一度謝ると、キルリアは無言で首を横に振った。
かれこれ歩いて数十分は経っただろうか。何度もタウンマップを覗き込んだが、相も変わらず返答をしない。これでは宝の持ち腐れではないかと幾度かため息をついたものだ。
オウハ「ふう……まだ明るいから良いけれど…暗くなってくるとまずいわよねぇ…」
キルリア「はい。…でも、いざとなればテレポートを使います」
オウハ「いえ、ありがたいけれどそれだと貴方への負担が大きすぎるわ。…誰か通りかかってくれたりしないかしら」
木陰で身を寄り添い合いながら一糸の希望を携えて辺りを見回す。しかし無下にも人影は見えず、むしポケモン達が歩いているだけ。お互いに顔を見合わせ、あたしが腕を組むと。
キルリア「…！」
オウハ「…あら？」
「………♪」
突然どこからか、ご機嫌そうにココドラがとことこと歩いてきた。その目線の先ではバタフリーがふよふよと飛び回り、まるで誘導するかのようで。
「…ココッ♪」
時にぴょんぴょんと跳ねながら、あたし達には目もくれず――いえ、気付かずに目の前を通り過ぎていく。なにこの子可愛いわね。
キルリア「………」
これにはいつも冷静なキルリアも呆然とし、まじまじと見つめている。
恐らくその子は野生で、多分……同じく野生のこのバタフリーに着いてきちゃったのね。本来は洞窟を住処にしているはずだし、きっとそう。
単純というか、おっちょこちょいというか……朗らかな子なのね、なんて自己解釈をする。
なんだかひょんな所で和みを得てしまった。未だにそのココドラはルンルン気分で短くて小さな手足を動かす。それが自身の小さな妹とも重なり、微笑ましく思えた。
と、その時。
「…ッ！？」
オウハ「…あっ」
キルリア「…あっ」
いきなり何でもない所で蹴躓き、それまで陽気だったココドラはどてんと大きく転がった。同時にバタフリーは上昇し、やがて姿を消す。
途端に響く、ココドラの鳴き声。
３→←Story25.ホウエンの地、ココドラ、あの子。-追憶-１
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作者名：らっこ | 作成日時：2020年2月24日 18時
