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正直、意外ではないと言えば嘘になる。その結果に至るまでの過程は見られなかったが、ただ単にユズ君への勝利というイメージが薄かったのだ。それもこれも、彼が勝負事自体をなるべく避けて通ってきた事に所以するとは思うが。
オウハ「くっ……やるじゃない、ユズ…」
ユズリハ「…ん。」
じゃあ、と消え入りそうな声で呟き、ユズ君は布団に潜り込み目を閉じた。一瞬伸ばしかけた手を引っ込め、姉上は私の三つ編みを完成させて指でなぞる。
オウハ「…致し方無いわ、一時間だけよ。…はぁ……それにしてもクレハは何でも似合うのねぇ……」
コウハ「始まった。」
クレハ「おさげですじゃー！」
オウハ「可愛いですじゃ……」
姉上が口元を押さえながらぼたぼたと大粒の涙を零すので、慌ててティッシュを渡すとさらに泣かれてしまった。兄上は別段動揺する事も無く傍観し、幾回か伸びをした後元気よく立ち上がりモンスターボールを手に取る。
コウハ「よっしゃー、俺も起きるかー！エルおっはー。朝練行くぞー。」
オウハ「クレハも起きるでしょう？あたしはまだ朝ご飯の用意してくるわね。」
クレハ「うむ！したらば、着替えたら兄上のとこ行っておるの！」
兄上は出てきたエルレイドと共に自室へ、姉上は台所を任せていたサーナイトの所へといそいそと部屋を出る。やがて皆がそれぞれの行いを始めたが、久しぶりにそんな光景を目の当たりにして、少しばかりまだこの気持ちに浸っていたい気がした。かと言って布団の中で座っているといよいよ動けなくなりそうなので、腰を上げて布団を兄上の分も片付けておく事にした。
クレハ「………」
ユズリハ「……………」
ユズ君の寝付きは朝でも絶好調のようで、勝利の褒美としていつもよりも気持ちに余裕があるのか、それはもうぐっすりと落ちてしまっている。私は起こさないように部屋を出て、部屋を一つ挟んだ自室へと向かった。
その後は恐らくご飯が出来るまで兄上は剣を振るしユズ君は寝るだろうし私は身形を整え兄上の元へ行くだろう。なんて事ない普通の朝だが、それでも
やっぱり兄弟というものは見えざる何かで繋がれているもので、どこまでいってもそれは変わらない。それが、あの賑やかで個性豊かなあの人達とそんな風に居られる事が私にとっての幸せだ。
私はまだまだ未熟だけど、いつか皆にもそんな風に思われる自分になりたい。
クレハ「……うむ！」
そう考えながら着替えを済ませ、私は
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作者名：らっこ | 作成日時：2020年2月24日 18時
