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リョウヤ。その聞き慣れぬ名前らしき言葉を聞いて俺は何の事か分からず戸惑い、何故か反応したのはアマミツだった。
アマミツ「…うん。面白そうな人が居るなァって思ったからねェ。」
おっちゃん「そや、コウには言っとらんかったな。」
アマミツが返したのにも関わらずおっちゃんがそのまま流した事に少し違和を覚えたが、何か説明をしてくれるらしいので何も言わずに座ったままで、俺は机に両肘をつき聞き手に回った。
おっちゃん「こいつ、リョウヤっていうん。…あ、キュウコンの事は言うてえぇんか？」
アマミツ「あァ、良いよ。もう言ったからねェ。」
おっちゃん「ほな。こいつな、キュウコンが化けとん。んでだいぶ前に家の前で倒れとったさかいウチで保護したんやけど…手伝うてくれる言うし、ウチの子になってもろたんや！」
自慢げにおっちゃんはにかっと笑った。しかしなるほど、これでアマミツが家族と言っていた事は確かになった訳だが…どうも先程からの"リョウヤ"が気になる。
コウハ「なるほどー。元々は保護されたポケモンだけど今はここの家族だって事は分かったぞー！でもそいつな、名前アマ――」
アマミツ「コウハ。俺はリョウヤだよォ。」
コウハ「え、でもお前――」
――後で教えるから今は黙っててね。
そう耳打ちをして、くるりと軽やかにおっちゃん達に向き直った。貴重な台詞です遮らないで…
アマミツ「ヨウジ、ミユキ。まずその荷物置いたらどうかなァ。」
おっちゃん「おん、せやな。やー、めっちゃポケモンの世話してきたわ！」
おばちゃん「かいらしかったなぁ。知らん子も居ったし、また情報貰っとかんと。」
そう楽しげに会話をしながら二人は階段を上がっていく。その後をブイズがとたとたとついていき、やがてその場には俺とエルとアマミツだけとなった。
しんと一気に静まり返る中、口を開いたのは何故かエル。
エルレイド「…はぁ。お前なー、そこは空気読めよ！」
コウハ「なっ…空気は吸うもんだろ！厳密には酸素だけど！」
エルレイド「おっちゃんがリョウヤっていうんだからなんかあれだろ、どっちかがニックネーム的なアレだろ！？」
コウハ「そんなん知るわけねぇだろ！？」
アマミツ「あー…ごめんねェ、紛らわしくしちゃって。」
アマミツは今日初めて見る表情をして笑った。次いで天井を仰いで呟く。
アマミツ「…俺はね、リョウヤって呼ばれてるアマミツなんだ。」
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作者名：らっこ | 作成日時：2020年2月24日 18時
