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コウハ「ありゃー……」
第一声がそれだとは思わなかった。その人が、ポケモンと化したというのに。
「…コォン？」
コウハ「えっ何て？」
その人は綺麗に宙で一回転をし、次の着地時には金色のポケモン――キュウコンへと姿を変えていた。指通りの良さそうな毛並みの美しさには彼の靡く髪と同じものを感じる。
エルレイド「ありゃって何ぃ〜？？本当の俺はって訊いたのは君でしょぉ〜〜？？？」
コウハ「そこまでしつこくは無かった。」
エルが気を利かせてすかさず通訳をしてくれたが、何も言い方まで似せなくてもなぁ…
コウハ「ていうか何だそれ！お前ポケモンになれんの！？めっちゃ気になるやべぇ！！」
キュウコン「コン♪」
コウハ「すげー！かがくのちからじゃねぇけどすげー！！」
興奮する俺を他所にキュウコンは再び回り人へと戻った。
「逆だよォ？キュウコンが俺になれるの。『化ける』って奴かなァ？」
コウハ「やべぇ！何それやべぇぞ！？俺も化けてぇ！！」
エルレイド「出来るかばーか。」
いや分からんぞ。人間可能性の塊なんだ、もしかしたら明日俺がアルセウスになってるかもしれないぞ。…なんて言う前に、彼が口を開く。
「くふッ…そんな簡単に出来るわけないでしょォ？…俺だって何十年と掛かったんだ、そうすぐに出来るなんて勘違いしない事だねェ。」
コウハ「そうか…そうだよなぁ……人間の限界を感じます…！」
エルレイド「いや人間は可能性の塊だろ…」
コウハ「否定はしない！…あっ、そういえばお前名前は何て言うんだ？」
彼は一度解いた髪を結い直していたが、一瞬だけ手をピタリと止めた。が、すぐに直し終えてこちらに向き直った。そういえば訊いてませんでした。
「…俺に興味、持ってくれるんだァ？」
コウハ「正直めっちゃありますでんす。」
エルレイド「バカコウハ、口調どっか行ってるぞ拾ってこい。」
コウハ「口調！！あっすまん遮った！めっちゃお前に興味ある！すげぇもん！！」
危うく脱線しかけたが何とか拾い上げる。でも興味あるのは本当だ。その人は呆気にとられたような表情だったが、やがて満足そうに笑んだ。
「………アマミツ。」
コウハ「あまみつ？美味そうだなー。」
エルレイド「お前ちょっと黙っとけ。」
コウハ「悪い、アマミツ。…うん、アマミツな！覚えとく。」
親指を立てて笑ってみせると、アマミツはくるりとご機嫌そうに踵を返した。
アマミツ「うん、よろしくねェ。コウハにエルレイド。」
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作者名：らっこ | 作成日時：2020年2月24日 18時
