[バレンタイン企画]茶色の蜜で甘く愉しむ ページ24
昨日届いたばかりの品物を鞄に潜めて凜の家に向かう。
小型の物だから、学生の私でも買えたのは嬉しい。
動作は確認したので、後は二人で楽しむだけだ。
「凜、来たよ。」
「ひなちゃん…!わ、懐かしい…。」
「ちょうど良い鞄が中学の時のスクールバッグしか無かったんだ。
部活用のだからいっぱい入るしね。」
「え、何持ってきたの?」
鞄に寝かせていたそれを箱ごと取り出し、中身を彼女に見せた。
「家庭用のチョコファウンテンだよ。
今年のバレンタインは二人でチョコフォンデュがしたいなって思って。」
「凄い。こんなの初めて見た…。」
目を輝かせる彼女を尻目に準備を整える。
「これでOK。始めよっか。」
紙皿とフォークを手渡し、ファウンテンのスイッチを入れる。
程良くとろみの付いたチョコが、泉の様に流れ出した。
「わぁ…!ふふ、見てるだけでも楽しいね。」
「でも電池が切れる前に食べないとね。」
言いながら、マシュマロをフォークに刺してチョコに通す。
凜は目の前の苺で楽しむ様だ。
「…甘くて美味しい。」
「本当に凜は苺が好きだね。」
「うん。特に今日の苺は大好き。
だってひなちゃんが持ってきてくれたもん。」
嬉しそうに苺に付いたチョコを
舐めている彼女を見て、心の奥がどくりと動いた。
「何か今日の凜、いつも以上に可愛いな。」
「え、何で…?きゃっ!」
話しながらしたせいか、ファウンテンの
奥にまでフォークを通してしまった彼女。
その為に、勢いを付けたチョコが彼女の頬に掛かってしまった。
「うぅ、凄い掛かっちゃった…。…ひなちゃん?」
布巾で拭こうとする彼女を制し、
フォークを紙皿に置いて彼女の方を向く。
「もう、こんなに付けて。」
片手を彼女の顎元に沿えて顔を近付けると、
彼女の頬に私の舌を這わせてチョコを舐め取った。
「やぁ…っ。擽ったい…。」
「ふふ、凜のチョコ美味しい。もっと頂戴?」
「もっと、って…?んっ…、ふぁ…。」
私の方を向いた彼女の首元に両手を回し、
彼女の上に軽く跨がり少しだけ体重を掛ける。
そのまま口付けて、息衝く間も無く舌を入れて弄った。
微かに残った甘い味と匂いが、私達を離してくれない。
「……ひなちゃんの、ばかぁ…。」
「ごめんね。今日の凜が可愛過ぎたから。」
唇を離した途端に彼女に抱き締められる。
私はその頬を撫でながら甘く囁いた。
私と凜も、チョコみたいに溶け合って一つになれれば良いのに。
もしそうなったら、きっと私達は今以上に幸せになれるだろうから。
「オリジナル」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ