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たまには思い出を纏って ページ25

私がひなちゃんから服を貰う前からメインで着ているのは、普段着替わりのジャージ。
それぞれ、グレーとブルーの物が一着ずつだ。
他にもあるけど、すぐに思い浮かぶのはそれ位だろう。
後はひなちゃんとお揃いで色違いのチャイナドレス。
クローゼットに眠っていたのを思い出して引っ張り出すと、
それに込められた記憶も蘇ってきた。

高校一年の時の文化祭。
当時の私達のクラスはコスプレ喫茶をする事になった。
メイドさんに着ぐるみ、アニメのキャラクターの
衣装を着ていた子もいて、内心とても羨ましかった。
スタイルや容姿の良い子がするのは分かるけど、
何故私までしなければいけないのだろう。
上手に着こなせる彼女達に対して純粋に
羨ましく思う反面、どこか虚しさも覚えた。
可愛くない上に幼児体型の私に出来るコスプレなんて無い。
そう決め付け、ひなちゃんにその事を言ったところ。
「凜が可愛くなかったら私はどうなるの。
私は凜以上に可愛い子はいないと思ってるよ。
ねえ、この後衣装見に行かない?
絶対凜に似合うのある筈だから。」
そう言われた。
最終的に選んだのは、白猫が描かれた水色のチャイナドレスだった。
ひなちゃんのものとお揃いで、彼女のは
黒猫が描かれた薄いピンクのチャイナドレス。
コスプレ喫茶の後にも二人揃って
その衣装のまま校内を歩いたのも良い思い出だ。

久しぶりに、チャイナドレスを着てみた。
背中にジッパーがあるので一人で着るのに
苦労したけど、どうにか上がってくれた。
「やっぱり、脚が目立つなぁ。」
そのまま姿見の前に立ってみる。
綺麗な脚なのに、隠すのは勿体無い。
初めてそう褒められた時は胸の奥が熱くなったな。
「にーはお…なんちゃって。」
私は一人で何をしているのだろう。
ふと、ピンクのチャイナドレスを着たひなちゃんを思い起こす。
あの時のひなちゃんは今までで一番可愛かったなぁ。
「うぉーあいにー。
…<ひなちゃん>って中国語で何て言うのかな。」
ひらがなだから当て字になるのかな。
その時はどんな字になるんだろう?
妙な事を考えている自分にハッとなり、時計を見る。
空模様もいつしか夕方のものになりかけていた。
ひなちゃんが来る前に着替えないと。
そう思うが、体がベッドに吸い込まれていく。
眠気に加え、肌寒さや恥ずかしさが同時に襲ってきたのだ。
…ちょっと、寝ちゃお。

「凜、寝ちゃってる。
……ふふ、まだ持っててくれてたんだ。
とっても可愛いよ、凜…。」
あれ、これは夢…?

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設定タグ:百合 , 短編 , オリジナル   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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作者名:螢羅(K-Ra) | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年12月7日 19時

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