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その想いは形を変えて ページ5

私とひなちゃんは、幼稚園からの幼馴染。
彼女とはどこに行くにも何をするにも一緒でないと嫌だった。
変わり始めた事に気付いたのは、中学に入ってから。

友達が増えていく彼女に対して、
内気な私は何も出来ず次第に孤立していった。
ひなちゃんが私から離れちゃう。
他の子達に、ひなちゃんが取られちゃう。
私の頭の中ではそんな心配ばかりが渦巻き、
心の中には黒い靄が広がるのを感じた。
彼女を意識し始めたのは中学の頃。
この気持ちが恋心だと気付き、彼女に対しての想いが
恋愛感情に変わるまでには時間を要さなかった。
同時に今まで好きな男の子が出来なかった理由が
それにある事が、私には怖く感じたのだ。
靄を掻き消す為に、彼女を後ろから抱き締める。
どこにも行かないで…!
一人にしないで…!
必死に訴える私に、彼女は私の手に自分の手を重ねてそっと呟いた。

二人分の体温を擁したベッドの上で、うっすらと目を開く。
近くの時計を見ると、六時半頃を指していた。
隣に目を移すと、私の一番愛する人が小さく寝息を立てていた。
彼女のお腹の辺りに片腕を回し、ほんの少しだけ彼女にくっつく。
「ん…。…どうしたの?」
お、起こしちゃった…。
「ごめんね。ちょっとくっつきたかったの。
ひなちゃんの事を好きになった頃の夢を見てて、その…。」
「思い出しちゃったんだ。」
体をこちらに向けて、私の肩を抱く彼女。
「ひ、ひなちゃんは友達多いから…、
いつかは私を忘れて捨てられちゃうのかなって思って…。」
「そんな筈無いじゃない。
友達はいるけど、ここまで親しいのは凜だけだよ。
私は凜を捨てたりなんかしない。
凜の事、誰よりも愛してるから。」
「本当に私で良いの?もっと他に良い人いるでしょ…!?」
「凜が私の事を好きなら、私も凜の事を心から愛する。
それが恋人でしょ?
それに他の誰よりも付き合いが長いじゃない。
だから凜の事、好きでしか無いの。
今更嫌いになんてなれない。なりたくないの。」
その言葉と頬に触れた彼女の手の感触によって、
私の目からは反射的に涙が零れてきた。
「ごめんね…。こんな私と、一緒にいてくれてありがとっ…!」
「謝らないでよ。凜は何も悪い事してないでしょ。」
泣きじゃくる私をしっかり抱き締めて受け止めてくれる彼女。
いつかは彼女に見合う女の子になりたいな。

「どこにも行かないし一人にもしないよ。
私はずっと凜と一緒にいるからね。」
どこまでも優しくて暖かい彼女を、私は誰よりも愛してる。

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設定タグ:百合 , 短編 , オリジナル   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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作者名:螢羅(K-Ra) | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年12月7日 19時

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