【逆ハー注意】男装腐女子の魔法科男子校潜入記【3】

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お手洗い借りるねーと言って足取り迷わせることなく、洗面所に向かうアルくん。
え、待って……洗面所が一発でわかるってことは、本当に普段からお邪魔してる仲ってことじゃない！？ 普段から仲良さそうとは思ってたけどもしかして、と思ってから、役員フロアの部屋はみんな同じ造りってことを思い出して落ち着いた。
よろしい。最近の私は大人の余裕を持っているね。

「アル……何の用」
「ん？ 言ったじゃーん、Aに挨拶しに来たって」
「俺の部屋、なんでわかった？」
「生徒会のグループチャットに二人だけ返事がなかったから、もしかしてと思って〜」

ぱっぱと軽く洗面台に向かって指を振ってから、タオルで手を拭くアルくん。
え、嘘、と思ってスマホを確認すれば、本当に通知がたくさん来ていた。双子からも来ていたし、アルくんの言う通り生徒会のチャットもかなり会話が進んでいるようだ。

「打ち上げ……？」
「そー！ アルくん発案！ 今回のことでてんやわんやだったし、後片付けもどーせ俺ら生徒会の仕事っしょ〜？ 大体後片付けが終わる今週末に、生徒会メンバー限定で打ち上げやろってコト」

許可なく私の皿から付け合わせのホームフライポテトを奪っていくアルくん。いいけどさ。

「まぁ確かにしんどそうだもんね。学園にドラゴン召喚なんて」
「そーそー、……って、もう片方のドラゴンはAが召喚したってわかってる？」
「あ、」

口をムグムグさせながら困ったようにいうアルくんに、私はそっかと思い出す。
エドのことで綺麗さっぱり忘れていたけど、私もドラゴン召喚しちゃったんだっけ。おかげさまで今でも私の魔力はまだほぼすっからかんの状態だ。
あの授業のおかげで全然疲労感はないけど。すごいな、意味あるんだな。嫌いなのは変わらないけど、魔力増強の授業。

「ドラゴン、呼べたんだね」
「うん……あまり呼びたくないんだけどね」
「なんで？ 格好いいじゃん」
「召喚獣ってただでさえ誰を持っているかでステータスが決まるみたいな風習あるから。ドラゴンを召喚できることは最上位。あまり俺ツエーしたくないの、私は弱いから」
「いやいや、ドラゴン召喚できるってことは強いでしょ」

笑いながらもう一個ポテトを取ろうとするアルくんの目をまっすぐにみて、私は答える。

「強すぎる力を私はコントロールできないの。正しい使い方ができないの。だから使わないの。強いのはあの子であって、私じゃないの。
釣り合わない力は、あの子を不幸にするから」

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