男装腐女子の魔法科男子校潜入記

8ねむ ページ9

それからことはすぐさま起こった。
HRの直後はどうやら移動授業だったようで、ツンデレ狼くんはそっけなく「次は上の階だ」と教えてくれた(この時点で血管は爆発寸前だった)。

さすがに一緒に行ってくれるほど私に心を開いているわけでもないそうで、顔を真っ赤にしたまま駆けていく狼くん。ここで血管は爆発鼻血が出たがすんでのところで手で隠しことなきを得た。
もう狼くんったらどストライク。根は優しい。

というわけで教科書を取り教室を出ようとしたら、思い切り肩を押され教室内へリターンバック。
そしてガラガラガシャンなんて音を立てて、扉の鍵はかけられた。

目の前に立ちはだかる、腕を組んだだいたい平均150cmのチワワが三人いる。
ここが天国か。

「ちょっとあんた、どういうこと！？なんで転入早々生徒会補佐に抜擢されてるんだよ！」
「どういうコネ持ってるの！？」
「ってなんでこの人笑ってるの……」

二人につっかかれ、もう一人にはドン引かれてる。
あぁああ幸せ。チワワかわいい。本当かわいい。

壁際に詰め寄られ、俺は前にも後ろにもいけない。
授業が始まる合図のチャイムがなり、俺の、いや俺らの遅刻は確定したわけだ。

「ごめんね、俺も実はよくわかってないんだ。 生徒会補佐って何かな？」
「はぁ！？あんたそんなこともわからずにこの学園に転入してきたわけ！？」

嘘です知ってます！
優秀な富豪な息子が学園の大多数を占めている。
富豪じゃなければ特待生、つまりとんでもない秀才かのどちらかである。
もちろん私は例外だけどね！ひゃっほう私格好いい！

「富豪の息子は将来親の跡を継ぐ」というしきたりというよりかは常識のせいで、この学園は生徒たちのリーダーシップスキルを磨くのに大変力を入れている。
だからこそ「委員長」「会長」などの立場に権力を与え、上に立つものとして学ばせているのだ。一言に言えば、この学園の全てが、生徒たちが各々の大会社の社長になるためのシミュレーションゲームのようなもの。

だから生徒会4名、風紀委員トップ2名はそれぞれ権力も美力もトップを連ねるものが投票で選ばれることとなっている。
そして彼らの仕事は一般の生徒の仕事を凌駕するもの。ほぼ校長などが手をつける資料の処理を任されている。
権力を与えすぎて廃れないようにするための抑止力だ。

「とりあえずイケメン揃い！」
「はっ？」
「何この人こわい……」

チワワに怖がられちゃった。
それにしても生徒会補佐が楽しみです。

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